2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H02484
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
藤井 彩子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 契約研究員 (40896172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和木 美代子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (10355092)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リン回収 / 養豚排水 / リン酸マグネシウムアンモニウム / ヒドロキシアパタイト |
Outline of Annual Research Achievements |
養豚排水中からのリン除去手法の基礎的検討として(Step1)、養豚排水の活性汚泥処理水を3施設から4サンプル採取し試験を行った。採取したサンプルの水質分析の結果、全リン濃度は13-47 mg/L、リン酸態リン濃度は10-42 mg/L の範囲であり、いずれのサンプルも水質汚濁防止法の排水基準(日間平均 全リン8mg/L)よりも高い値であった(なお調査施設は当該法律の適用対象範囲では無い)。また、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)やヒドロキシアパタイト(HAP)を形成するのに必要な、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンとリン酸態リンのモル比はそれぞれ、0.5-2.9 および0.8-4.8 であり、活性汚泥の一次処理に凝集剤を使用している施設において比率が高い傾向があった。 ラボスケールのバッチ試験において、サンプルを曝気することで炭酸イオンを除去しpHを上昇させる手法での結晶体でのリン除去を試みた。その結果、曝気のみでは排水基準を遵守できるレベルまでリン濃度を低減化させることはできなかったが、曝気に加えて塩化カルシウムを加えることで、4サンプル中3サンプルで排水基準以下の濃度にできることを確認した。 さらに、同様のバッチ試験において、水酸化ナトリウムおよび水酸化カルシウムを加えてpHを上昇させることでも、それぞれ、4サンプル中3サンプル、4サンプル中4サンプルで排水基準がクリアできることを確認した。いずれの反応においても、HAP生成によるリン濃度の低減化が主体の反応であると推測され、pHの上昇とカルシウムの供給が可能な水酸化カルシウムがリン除去には最も有望であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度はラボスケールのバッチ試験において、養豚排水の活性汚泥処理水中のリン濃度を排水基準以下まで低減化させる条件を明らかにした。R5年度はR4年度に明らかになった条件を用いて、ラボスケールの連続処理のリアクターを運転する計画である。家畜防疫の理由から、連続処理に使用する実排水を大量に入手することが困難であるため、R4年度の水質測定結果を基に合成排水を準備し、連続処理に供する予定である。
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