2023 Fiscal Year Annual Research Report
Controlling tick-borne pathogens based on the tick symbionts
Project/Area Number |
22H02505
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中尾 亮 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50633955)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 吸血源動物 / 共生微生物 / マダニ / ヤマトマダニ / Coxiella / MIG-seq / GRAS-Di |
Outline of Annual Research Achievements |
マダニの吸血源動物の推定法として、脊椎動物の複数のハウスキーピング遺伝子を増幅し、その増幅産物をMiSeqにより解読するマルチプレックスDNAバーコーディング解析法を開発した。北海道の野外環境から採集したヤマトマダニの成虫を用いて試験したところ、タヌキ、キツネ、アライグマ、イヌ、鳥類などの配列が検出された。供試したマダニのうち、約10%の個体からのみ遺伝子増幅が見られた。マダニの吸血源動物推定研究の過去の報告よりは高い検出率を示したものの、マダニの吸血源動物相の全体像を把握するためには、さらに手法を改良することが必要であると考えられた。 国内のマダニ種において、極めて近縁な2種のチマダニ(Haemaphysalis)属マダニ(オオトゲチマダニ、ヤマトチマダニ)について、その微生物叢・ミトゲノム配列を比較した。その結果、両種においてCoxiella様共生菌を最優占の共生微生物種として検出された。一方で、多様性指数の比較では両者の明瞭な差が観察された。さらに、ミトゲノムに着目すると国内に分布するヤマトチマダニは2つの集団に大分されることが明らかとなった。 マダニ共生微生物とマダニ遺伝子型の関係性を把握するためのマダニ遺伝解析手法の検討として、ヤマトマダニを対象に解析を実施した。ゲノムワイドSNPsを抽出する目的で、Multiplexed ISSR Genotyping by sequencing(MIG-seq)法とGenotyping by Random Amplicon Sequencing-Direct(GRAS-Di)法を用いた。主成分分析の結果から、本邦ヤマトマダニ集団は地域的に維持され、集団間の交雑が少ないことが示唆された。特に、北海道由来マダニ集団と本州以南マダニ集団が明瞭に分離した。GRAS-Di法は分解が進んだDNAサンプルにおいても有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マダニの吸血源動物の推定手法については、今後の改良が必要なものの一定の成果が得られた。マダニの遺伝解析手法の検討からは、MIG-seq法、GRAS-Di法、ミトゲノム解読のそれぞれの利点・欠点が整理でき、次年度以降の大規模な解析への基礎情報が得られた。共生微生物の分離や性状解析に有用な実験室維持マダニ株、マダニ細胞についても順調に整備が進んでいる。 以上のことから、課題研究は順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
マダニの吸血源動物の推定手法については改良を実施する。また、鳥類など特定の動物群を対象に絞った解析法への展開も検討する。これまでに蓄積した微生物叢データをもとに、マダニ細胞などを用いた共生微生物の分離・性状解析を進める。
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