2023 Fiscal Year Annual Research Report
犬糸状虫を媒介しない蚊の創出に向けた病原体媒介機構の分子遺伝学的解明
Project/Area Number |
22H02510
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅野 光範 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20590095)
相内 大吾 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 准教授 (50552783)
白水 貴大 藤田医科大学, 病態モデル先端医学研究センター, 助教 (80804608)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イヌ糸状虫 / 蚊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではネッタイシマカのイヌ糸状虫非媒介性表現型に関する責任ゲノム領域を同定し、犬糸状虫を媒介しない蚊を作出するための科学的基盤を構築することを目的としている。現在までに得られた一次的な次世代シーケンサーを用いた比較ゲノム解析の結果、3カ所の表現型特異的ゲノム領域が推定された。そ こで、本申請ではゲノム解析をさらに詳細に進めることでネッタイシマカの犬糸状虫非媒介性表現型に関する責任ゲノム領域を遺伝子レベルで 同定し、犬糸状虫を媒介しない蚊を作出する ための科学的基盤を構築することを目指した。昨年度7世代まで成功した蚊の近交化を更に進め、13世代に到達することに成功した。すなわち高い精度でのゲノム解析が実施可能な状況の実現に成功した。 詳細な解析法としてバキュロウイルス発現系を用いた過剰発現系の検討を試みた。ネッタイシマカで特異的に外来遺伝子(GFP)を発現するシステムの開発に成功した。しかしながらバキュロウイルスによる毒性で蚊の生存率が大きく下がる問題が発現した。弱毒化バキュロウイルスの使用を検討したが、抜本的な改善には至らなかった。機能減衰実験系としては、大腸菌発現dsRNAを用いた機能減衰と表現型の発現に成功した。すなわち多くの遺伝子を同時に低コストでアッセイする系を入手するに至り、今後の実験スピードの進展が期待される。以上、これらの実験系を用いて、ネッタイシマカのイヌ糸状虫感染低抗性に関するメカニズムの解明に繋げていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蚊の近交系作成は困難であり、系統樹立中にリーサルとなることが多々ありその道のりは厳しい。今年度において13世代の近交系の作成に成功し、高い解像度での解析可能な実験基盤の樹立に成功した。また、大腸菌内in vivo dsRNA発現系による遺伝子ノックダウンと表現型誘導に成功し解析基盤が大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度において作成に成功した実験材料を基盤として、特に遺伝子機能減衰型実験系での解析を進める。また遺伝子機能増強型の実験系のトライアルを行う。RNAaのフィラリアと蚊における有効性を検証する。
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