2022 Fiscal Year Annual Research Report
過剰排卵処置に続く経腹壁エコーガイドで採取したブタ卵子に由来する受精卵の特徴
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22H02519
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高須 正規 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (00503327)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ブタ / 受精卵移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
岐阜県では2018年に発生した豚熱によって,10年以上かけて作成したブランド豚を失った。このとき,もしその受精卵を遠隔地で保存し,避難させられる技術があればブランド豚を失うことはなかった。この経験を経て申請者は新たなブタ受精卵の採取法に関する研究を開始し,2021年になってその採取法(OPU)の基礎を確立できた。 本研究は,新規OPUを発展させ,ブタにおいても1)受精卵の保存(遺伝子資源の保存)ならびに2)受精卵移植の育種改良への活用を実用化することを目標としている。 本年度,新規OPUで得られた卵子を用いて受精卵を作製し,これを借り腹に移植することで産子を獲得できることを確認した。 まず新規OPUでマイクロミニピッグから卵子を採取し,体外受精・発生させた。この方法でおおよそ20-30個の卵子を採取できた。得られた卵子を体外受精・培養すると,卵割した受精卵の半数以上が胚盤胞になった。次に得られた胚盤胞を凍結保存した。これを解凍し,発情から4-6日の借り腹に移植したところ,移植後20日に超音波検査で妊娠を確認した。最終的に,移植した受精卵に由来する2頭のマイクロミニピッグ産子を獲得できた。 今回,新規OPU-受精卵作製・凍結-移植で産子が得られた。しかし,未だ新規OPU-受精卵作製・凍結-移植に最適なプロトコールを確立できていない。このため,来年度以降,ブタにおける受精卵移植を実用可能なものとするために,新規OPU卵子の成熟,体外培養,受精卵の凍結・融解,移植に関する知見を重ねる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,新規OPUで得られた卵子を用いた体外受精が実用化できる可能性が得らえた。新規OPU卵子を体外受精して作製した受精卵を凍結し,それを借り腹に移植することで産子が得られたことより,新規OPUはブタにおける受精卵移植を実用化するための技術基盤であることを証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は,新規OPU-受精卵移植を実現するために,OPUで得られた卵子・受精卵に関する知見を獲得する。 新規OPU卵子は採取後に成熟培養する必要がある。このため,まず異なる条件でOPU卵子を成熟培養し,最も高い率で胚盤胞を形成できる条件を明らかにする。 次に,最も高い胚盤胞形成率となる条件で卵子を培養し,その発生(卵割率や卵割スピード)ならびに細胞質の成熟を評価する。 さらに,新規OPU-体外受精で作製した受精卵(胚盤胞)の特徴を明らかにする。新規OPU-体外受精で得らえた受精卵を凍結・融解し,その特徴を明らかにする。 最後に,新規OPU卵子ならびに同卵子に由来する受精卵と食肉処理場由来の卵子ならびに同卵子に由来する受精卵とを比較する。これにより,ブタにおける生体内発育卵子の特徴を明らかにし,ブタ体外受精プロトコールの確立を目指す。
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