2022 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞を用いた羊膜前駆細胞の発生機序と細胞特性解析
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22H02530
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大串 雅俊 京都大学, 医生物学研究所, 准教授 (00462664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築山 智之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 特任准教授 (60612132)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒトES細胞 / 胚体外組織 / 羊膜外胚葉 / 栄養外胚葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ES細胞分化系を切り口に、霊長類特異的な羊膜外胚葉の発生機序とその細胞特性への理解を深めることを目的として行うものである。本年度は、経時的シングルセルRNAシークエンス結果に基づく遺伝子ネットワーク解析により、羊膜前駆体にて活性が情報する特徴的な転写因子をの候補をリスト化した。それらの転写因子の遺伝子をレンチウイルスベクターにサブクローニング、ヒトES細胞に導入する発現スクリーニングを行なったところ、単独発現によりES細胞を羊膜前駆組織へと分化誘導できる転写因子を複数同定することができた。その中の一つ、ELF3転写因子についてtet-onシステムによる発現誘導株を作製して、ELF3発現による細胞分化の詳細を詳しく調べるとともに、RNAシークエンス及びChIPシークエンスを実施して解析を進めている。また、ELF3を含むいくつかの転写因子について遺伝子破壊ES細胞株を作製し、タンパクレベルでノックアウトできていることを確認した。今後はこれらのノックアウト株に加え、複数因子を同時に欠損する細胞株の調整を進める。また、サルES細胞を用いた分化系の立ち上げをおこなった。ヒトES細胞で実施している分化培養法から若干の調整が必要だったものの、概ねヒトで見られた羊膜外胚葉分化を再現することに成功している。また、プレリミナリーな結果ではあるものの、ヒトES細胞の場合とは異なる表現型も認められている。サルでも使用可能な抗体などの実験材料の整備を概ね終えることができた。引き続き、ヒトとサルとで何が同じで何が違うのかを抑えながら、より詳細な性状解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画に沿って発現スクリーニングやオミックス解析を実施し、予定していたデータセットを一通り取得することができており、また、サルES細胞を用いた分化誘導法の確立、サル胚を用いた解析に必要となる実験材料の整備にも概ね目処が立ったといえる。マトリゲルなどの必須の実験試薬の供給が不安定なこともあり、思うように実験を進めることができなかった部分があるものの、代替品を用いた実験系がワークしたため大きな遅れは生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ヒト・サルES細胞を用いた解析を進め、細胞分化動態をゲノムワイドに検証していく。また、これらの培養胚棒を用いた実験を進めつつ、in vivo実験で使用できる試薬・試料(マーカー、抗体、gRNAなど)の動作確認を進める。
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Research Products
(3 results)