2022 Fiscal Year Annual Research Report
Dissecting the transcriptional network of organogenesis based on reprogramming factors
Project/Area Number |
22H02533
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
橋本 寿之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (90528390)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 謙一郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50528578)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 心臓発生 / リプログラミング / 再生医療 / 先天性心疾患 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞から分化誘導した心筋細胞は遺伝子プロファイル、形態、機能ともに実際の内在性の心筋細胞とは異なっている。つまり心臓を新たに創る技術には未だに改善の余地があり、再生医療の実現に向けては心臓の発生と分化に関してのさらなる理解が必要である。 我々は線維芽細胞から心筋細胞を作製する直接分化転換法の先行研究において、幹細胞の多能性維持に働く転写因子Zfp281に非常に強い心筋分化転換作用がある事を見出した。 よって、本研究ではこのZfp281と心臓形成の予想外な関連性に着目し、様々な遺伝子改変マウス及び遺伝子発現・エピゲノム解析を用いて、Zfp281を中心とした心臓形成の新たな転写制御機構を明らかにする。そして、最終的には研究成果を心疾患の新たな分子機序解明や心臓再生技術の開発へと発展させることを目指している。 本年度は心臓中胚葉、心筋前駆細胞、心筋細胞という心臓発生過程の各分化段階特異的にZfp281を欠損したマウスを作製した。その結果、心臓中胚葉特異的にZfp281を欠損したマウスは心奇形を認め、胎生致死であったが、心筋前駆細胞、心筋細胞特異的に欠損したマウスは出生し、成獣期まで生存した。心臓にも特記すべき形態異常を認めず、Zfp281は心臓中胚葉から心筋前駆細胞に分化するタイミングで必須の因子であることが明らかになった。 次にZfp281がどのような遺伝子群を操り心臓発生に寄与するかを明らかにするため、Zfp281欠損マウスの心筋前駆細胞を回収し、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、Zfp281を欠損したマウスにおいては心臓発生に関連した遺伝子群の発現低下を認め、中胚葉由来臓器である心臓には本来発現していないはずの内胚葉や外胚葉関連遺伝子の発現上昇を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種遺伝子改変マウスは順調に作成でき、解析も予定通り行うことができた。トランスクリプトーム解析も一定数のサンプルを確保でき、解析も終了した、
|
Strategy for Future Research Activity |
前述した結果より、Zfp281は心臓発生において内胚葉や外胚葉関連遺伝子群を抑制し、中胚葉から心臓が発生する臓器形成ネットワークに寄与していることが示唆された。よって、今後はZfp281がどのように遺伝子発現を調整しているのか、エピジェネティクス解析を用いて明らかにする計画である。Zfp281は心筋分化転換効率を改善する因子であるため、今後の結果次第で心臓発生と心筋分化転換に共通する心臓の運命決定機構が明らかになることが期待される。
|