2022 Fiscal Year Annual Research Report
The study of X chromosome inactivation maintenance in primate.
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22H02539
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 郁弘 京都大学, 高等研究院, 特定講師 (40648424)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | カニクイザル / X染色体の不活性化 / XIST / SmcHD1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1) カニクイザル初代培養体細胞を利用して、霊長類のXCI維持機構を解明し、次いで, (2)カニクイザル着床後胚を用いて、XCI確立から維持に至る経路を明らかにする研究を行う。 本年度はCRISPR/Cas9システムを用いてXIST KO(プロモーター欠損)初代培養体細胞を作製し、これら細胞において不活性X染色体に特異的なヒストン修飾を蛍光免疫染色で解析し、XIST及びX連鎖遺伝子の発現をRNA FISH を用いてXIST KO体細胞のおけるX連鎖遺伝子の再活性化状態を解析し、XISTのXCI維持における必要性を検討した。その結果、不活性X染色体に特異的ヒストン修飾はH3K9me3以外は全て消失し、不活性化維持に必要であると報告されているSmcHD1の蓄積は維持されてていたが、X連鎖遺伝子の発現は認められなかった。これらの結果から、XISTは体細胞の不活性化X染色体の特異的ヒストン修飾維持に必要であるが、X連鎖遺伝子の発現抑制維持には必要ない事を明らかにした。さらに、XCI維持へのSmcHD1の機能を解析するために、XIST KO 体細胞のSmcHD1 をさらにKOし、同様の解析を行なった。XIST KO +SmcHD1 KO細胞で、SmcHD1の消失は確認できたが、不活性XからのX連鎖遺伝子の再発現は認めらなかった。この結果から、SmcHD1もX連鎖遺伝子の発現抑制維持には必要ない事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カニクイザルXCI維持機構研究用の試料として使用している初代培養体細胞は細胞分裂速度が非常に遅いため、KO細胞の作成から解析に至るまでかなりの時間を要する。このため当初の研究計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
カニクイザルXCI維持機構研究用の試料として、初代培養体細胞に加えて、XCIが完了し、維持されている細胞として知られているES細胞も使用していく予定である。ES細胞は初代培養体細胞と異なり、適切な培養条件下で高い増殖能と分裂速度を維持しているので、KO作成の時間を大幅に短縮でき、研究も進める事が可能となると思われる。また、体細胞とES細胞を比較解析することでXCI維持機構の理解が進むと考えられる。
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Research Products
(5 results)