2022 Fiscal Year Annual Research Report
Tissue-specific regulation of translation initiation mediated by ribosome heterogeneity
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22H02549
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
藤原 俊伸 近畿大学, 薬学部, 教授 (80362804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三嶋 雄一郎 京都産業大学, 生命科学部, 准教授 (00557069)
伊藤 拓宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (70401164)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 翻訳制御 / リボソーム / RNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、1.ポリオウイルスIRESの翻訳開始機構をモデルとしたリボソーム結合因子による神経細胞特異的翻訳開始制御の分子機構、2.HAVIRESの翻訳開始機構をモデルとしたリボソーム結合因子による肝細胞特異的翻訳開始制御の分子機構の2種類のIRES依存的な翻訳開始の分子機構を生化学的解析した。その結果、これまでに発見しているポリオウイルスの翻訳を制御するリボソーム結合因子の変異体を得ることに成功し、これら変異体がポリオウイルスの翻訳を制御不能となっていることを署名した。さらに、肝細胞由来のリボソーム結合因子がHAV IRES依存的な翻訳を活性化することを発見した。HAVのIRES依存的翻訳機構に関わるリボソーム結合因子同定と性状解析を足がかりに、組織特異的タンパク質合成制御機構とウイルスのトロピズムとの相関を明らかにすることを試みている。分担者の三嶋は、神経細胞および肝細胞由来の培養細胞系でリボソームプロファイリングを実施するための条件検討を行なった。またヒト培養細胞のデータをもとに翻訳効率とRNA制御配列を紐づけるための解析パイプラインを構築した。さらに分担者の伊藤は、哺乳類由来再構成型翻訳システムのすべての因子をヒト由来とするために、それまで異種であるマウス由来かつN末端を削っていたeIF4Gについて、ヒト由来eIF4G1の全長の大量発現系を構築し、精製した。これまでのeIF4Gとほぼ同じ効率で試験管内翻訳システムが機能することを確認した。また代表者は、神経結合タンパク質と翻訳開始因子eIF3との相互作用を明らかにし、神経細胞独自の翻訳システムについて新たな知見を得、論文誌上で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリオウイルス神経細胞内で増殖し急性灰白髄炎を引き起こす強毒株と、神経細胞での増殖能が著しく低く生ワクチンとして用いられる弱毒株を用いた研究により、中枢神経系での病原性決定に関わる領域が IRES に存在することが明らかにされている。したがって、神経細胞での増殖能の違いは IRES によって規定されるウイルスの蛋白質合成に依存していると予想される。そのため、神経細胞中での翻訳メカニズムを明らかにすることは、本研究課題を遂行する上で「外堀」を埋める非常に重要な課題である。本年度において、神経細胞特異的に発現するRNA結合タンパク質を探り針として翻訳開始機構の解明に挑んだところ、リボソームをmRNA上へとリクルートする上で鍵となる翻訳開始因子eIF3との相互作用が重要であることが明らかとなった。そこで、翻訳システムを試験管内で再現する実験系を構築するにあたり、長年翻訳研究者の懸案事項であったeIF4Gの組換えタンパク質調製において分担者伊藤により大きな進展を得ることができた、また、分担者三嶋の尽力により、神経細胞および肝細胞由来の培養細胞系でリボソームプロファイリングを実施するための条件検討を行なわれた。
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Strategy for Future Research Activity |
リボソーム結合因子による細胞特異的翻訳開始制御の分子機構の2種類のIRES依存的な翻訳開始の分子機構を生化学的解析とクライオ電子顕微鏡による立体構造解析により明らかにする。そして、結合因子の存在下および非存在下でのリボソームプロファイリングを実施し、結合因子によって機能が特化したリボソームにより翻訳指向性を特徴付けられる新規配列を見いだすことを最終目的とする。すでに同定済みである神経細胞由来リボソームに特異的に結合し、ポリオウイルスIRESの神経細胞での翻訳開始を制御する40S結合因子Xと40Sサブユニットとの相互作用部位の同定をクロスリンク質量分析法によって試みる。また、どのようにIRES中の1塩基変異を認識してリボソームへのローディングの可否を決めているのか、その理解を得るためには、構造生物学的解釈が必要かつ不可欠である。そこで、分担者・伊藤が中心となり、因子X・40Sサブユニット・ポリオIRES翻訳開始複合体、および因子X・80Sリボソーム・ポリオIRES翻訳開始複合体の立体構造解析を行う。翻訳開始の各ステップに必要な翻訳開始因子を加減することにより、様々なステップを取り出し、それらの立体構造解析を決定可能である。そして、得られた立体構造情報に基づいて生化学的な解析を行い、立体構造から見出される分子機構を検証する。多くの段階の一連の立体構造と生化学的な解析により、ポリオウイルスIRES依存的な翻訳開始制御の分子機構の全体像を足がかりに、リボソーム結合因子による特異的翻訳促進の分子機構を明らかにする。
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[Presentation] Revisit of miRISC-mediated translation regulation2022
Author(s)
Mai Miyao, Ayumi Mori, Yurika Sakamura, Takumi Tomohiro, Akira Fukao, Yoshinori Funakami, Shungo Adachi, Tohru Natsume, Koji Onomoto, Mitsutoshi Yoneyama, Toru Suzuki, Tadashi Yamamoto and Toshinobu Fujiwara
Organizer
第9回CCR4-NOT研究会
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[Presentation] A novel factor related to miRISC-mediated translation repression2022
Author(s)
Ayumi Mori, Mai Miyao, Yurika Sakamura, Takumi Tomohiro, Akira Fukao, Yoshinori Funakami, Shungo Adachi, Tohru Natsume, Koji Onomoto, Mitsutoshi Yoneyama, Toru Suzuki, Tadashi Yamamoto and Toshinobu Fujiwara
Organizer
第23回日本RNA学会年会(京都)
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