2022 Fiscal Year Annual Research Report
Biochemical characterization of sister chromatid cohesion
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22H02550
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
村山 泰斗 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 准教授 (60531663)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 姉妹染色分体間接着 / 染色体分配 / コヒーシン / 生化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞分裂における正確な染色体の分配は、染色体ペアの間に形成される接着構造に依拠する。コヒーシンはリング構造のATPase複合体で、リング内にDNAを通すトポロジカルDNA結合を介して接着を形成すると考えられている。接着はDNA複製の最中に形成されることが知られるが、その形成メカニズム及び接着の分子構造は未だ不明である。本研究は、精製した出芽酵母のコヒーシン及びDNA複製因子を用いて、複製に共役した接着形成過程を試験管内で再構築することで、その分子機構の解明を目指すものである。 2022年度は、コヒーシンとDNA複製反応を共役させ、その応答について詳細に解析した。まず DNA複製に対するコヒーシンの影響を調べるため、複製開始点を持つ環状の基質DNAにコヒーシンを先にローディングさせ、次に複製反応を行ったところ、複製反応そのものにコヒーシンは影響が見られなかった。この反応後、免疫沈降法でコヒーシンを回収し結合DNAを解析したところ、コヒーシンは複製が完了した産物と結合し続けていたことが判明した。改変コヒーシンを用いた解析から、複製DNAとの結合はコヒーシンのリング構造に依拠するトポロジカル結合を介することがわかった。一方で、複製反応後にコヒーシンを添加した場合は、複製DNAとの結合量は大幅に低下した。興味深いことに、出芽酵母の代わりに分裂酵母のコヒーシンを用いた場合でも、同様の結果が得られた。これらから、コヒーシンがDNAに結合し続けた状態で、DNA複製反応は開始から完了まで起こったと結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コヒーシンとDNA複製因子を合わせ25種類以上の精製タンパク質・複合体を共役させるとことで、DNA複製に対するコヒーシンの初期応答を検出した。現状、この再構成で接着が形成されている直接証拠は得られていないものの、さらなる解析を進めることで接着形成の基本原理に迫れるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
上記結果の最もシンプルな解釈は、DNAに結合するコヒーシンを超えて複製が完了したというものである。その場合、現状の再構成で複製された姉妹DNAの間で接着が形成されている可能性がある。そこで、複製DNAに結合したコヒーシンを精製し、その分子構造を高速原子間力顕微鏡により可視化する。並行して、姉妹染色分体間接着の形成に機能することが知られる複製装置結合タンパク質 (Ctf4, Csm3/Tof1, Chl1, Mrc1, Ctf18複合体, Eco1) を加え、コヒーシンに対する効果について解析を進める。
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