2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22H02553
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 弓弦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90583047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアリボソーム(ミトリボソーム)の形成中間体を再構成するため、T7 RNAポリメラーゼを用いてin vitroでrRNAを合成し、ミトコンドリア抽出液と混ぜた。ここで合成rRNAを釣るために、広く使われているRNAタグとしてMS2 tagをまず用いたが、タグに結合するMS2タンパク質の正常が悪いため、特定のRNAに強く結合するタンパク質を文献から調べ、実際に検証した。するとU1Aタンパク質がRNAに強固に結合することを見出した。このタグはRNAタグとして幅広く使えると期待している。このU1A結合タグをrRNAに付加して、再構成を試みている。また、ミトリボソームタンパク質の数種類にタグをつけて、細胞から形成中間体を直接釣る方法も検討している。 一方、形成過程から翻訳開始への過程も進めており、開始因子や開始tRNAを混ぜて構造解析する方法は一定の成果を得ている。まだ局所分解能が低いため議論の余地はあるが、Pサイトにおけるコドンとアンチコドンの対合とそれに関与する開始tRNAの特異的修飾の関与が明らかになりつつある。開始tRNAのアンチコドンの1文字目のシチジンにはホルミル基が付いた修飾があり、これはミトリボソーム特異的である。この修飾により、AUG、AUAの両方と対合できる。今回の解析で修飾されたシチジンがトートマー化することで通常不可能なA:C対の形成が可能になっていることが示唆された。この成果について現在、論文準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
In vitroで転写したrRNAとミトコンドリアの破砕液を混ぜて、タグでrRNAを釣ることを試みているが、大きな問題点が2つある。一つはrRNAが正しくフォールドしていないらしく、タグ結合タンパク質とあまり結合せず、収量が極めて小さい。もう一つは破砕液に含まれるミトリボソームタンパク質や組み立て因子とほとんど結合しない。この問題の解決に苦戦している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はin vitro転写ではなく、ミトコンドリアからrRNAを抽出する方法や、ミトリボソームタンパク質にタグをつける方法を検討する。また、翻訳開始因子や開始tRNAを用いた方法も続けていく。
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