2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of in situ SPA with wedge-shaped sample
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22H02559
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 貴之 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20423155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高崎 寛子 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (50610432)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クライオ電子顕微鏡 / 単粒子解析法 / 楔形試料 / 収束イオンビーム / FIB |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質は生命活動の根幹であり、タンパク質の機能異常は病気を引き起こす。また、ウイルスなどの病原体は特定のタンパク質に結合することで感染が開始されるため、タンパク質を知ることは病気の治療や創薬のおいて最も重要な要素である。近年の創薬は構造情報に基づいた"Structure based drug design"が主流である。そのため、自然な状態のタンパク質の構造情報を得る手法は創薬の基盤技術になり得る。一般的に創薬に用いることができる高分解能な構造情報は細胞内から精製されたタンパク質を用いられ、細胞内で今まさに機能しているタンパク質の構造情報を高分解能で得る方法は未だに確立していない。本研究では凍結させた細胞を収束イオンビーム(FIB)を用いて、楔形に切削し、十分に薄い場所のみをクライオ電子顕微鏡にて撮影し、単粒子解析法を用いて細胞内のタンパク質の構造を解析する方法を確立することを目的としている。 FIBは試料を非常に薄く切削できるが、通常の方法では高分解能な情報を得るには不十分であるため、まず楔形試料の切削の条件を検討した。特に自動切削と組み合わせた場合の1試料の作成時間、FIB装置からクライオ電子顕微鏡まで移送する際の力学的な安定性の注意し、実験を行なった。 標準サンプルである酵母を用いて楔形試料の作成を試みたところ、手前が厚く奥が薄い楔形の試料を作成することに成功したが、奥の薄い部分の厚さは一定ではなく、リアス式海岸のように不均一に削られることが確認された。そこで手前が薄く奥が厚い逆楔形にすると比較的均等に薄い試料を作成することができた。自動切削を使ってある程度の厚さまで削った後、手動で楔形を作成することで、8時間に7箇所程度の楔を作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度にFIB装置のアップグレードを行うことで自動切削が可能となり、人的な負担が軽減され、研究を進めることができた。その一方でFIBのビームによるダメージは予期していない強さであり、それは薄い部分でより顕著であった。楔形試料を作成するにあたり、この問題点を解決するための条件検討には時間がかかったため、区分的にはおおむね順調という評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では試料作成が全ての鍵を握っており、そのための条件検討は長い時間を要することが予想される。クライオ電子顕微鏡による撮影は多くの部分が自動化され、1日に6,000-10,000枚の画像が撮影できる。しかし、今回作成した楔形試料の場合、1楔に対して15箇所程度しか画像を撮影することができないため、1枚のグリッドの中でどれだけ多くの楔を作れるか、また1つの楔でどれくらい画像を取得できるかが高分解能の鍵を握っている。今後も引き続き、FIBによる楔形試料の作成方法の検討を行う。特に1つの楔の横幅をどれくらい広く取れるかという点について重点的に行う予定である。
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Research Products
(1 results)