2023 Fiscal Year Annual Research Report
多様な形状の新規回転対称多量体タンパク質の合理デザイン
Project/Area Number |
22H02566
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古賀 信康 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (50432571)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 人工タンパク質設計 / タンパク質複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請者らは、これまでに、グロビンフォールドのようにαヘリックスが不規則に並ぶ複雑な形状のall-αタンパク質構造を設計する手法の開発を行い、多様な形状の非バンドル型all-αタンパク質のデザインに成功してきた。これらの多様な形状のタンパク質をビルディングブロックとして組み合わせることで、多様な形状の新規回転対称多量体タンパク質をデザインする技術を開発することが本研究の目的である。 本研究では、多様な形状のタンパク質を、設計したい回転対称多量体になるように並進、回転させながら配置し、界面のコンタクト数が多い構造をクラスタリングすることによって主鎖構造を構築する。そして、その多量体構造が安定になるように界面の側鎖を再設計し、界面の面積、相補性、界面の複雑さを定量化した凹凸度を指標に用いて設計構造を評価した。 これまでに、この計算機多量体設計手法を用い、複雑な形状のall-αタンパク質構造のひとつを用いて様々は多量体のデザインを行うことにより、2量体、5量体について、SEC-MALS, 原子間力顕微鏡、結晶構造解析において、その会合状態を示す結果が得られている。また6量体についても、おおむねその会合状態を示す実験結果が得られている。現在、その結果について、結晶構造の精密化などを行いながら論文にまとめているところである。 また、同様の計算機手法を用いて、他の非バンドル型all-αタンパク質を用いた対称多量体設計や異なる相互作用界面を用いた多量体の設計に取り組んでいる。特に対称多量体の主鎖構造を構築した際に、多量体界面に主鎖のカルボニル基およびアミド基が水素結合を形成せずに埋もれてしまう場合があり、これら埋もれた極性基は複合体の安定性を大きく損なうと考えられる。そこで、埋もれた極性基に対して主鎖-側鎖間の水素結合が形成されるよう界面に存在するアミノ酸を設計するアルゴリズムの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、他の非バンドル型all-αタンパク質を用いた対称多量体設計の生化学実験まで行う予定であったが、様々な多量体構造を計算機上で生成すると、多量体界面に主鎖のカルボニル基およびアミド基が水素結合を形成せずに埋もれてしまうケースが、しばしば観測された。このような埋もれた極性基は、設計した多量体構造の安定性を大きく損なうと考えられる。そこで、これらの問題を解決するために、多量体を設計するためのアルゴリズムを見直す必要があると考え、その改良を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
他の非バンドル型all-αタンパク質を用いた対称多量体設計や、異なる相互作用界面を用いた多量体の設計を引き続き行っていく。また、これまでに設計した非バンドル型all-αタンパク質のひとつをビルディングブロックとして設計した多量体について論文化を目指す。
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