2022 Fiscal Year Annual Research Report
Osteoclast fusion mechanism based on plasma membrane curvature and tension
Project/Area Number |
22H02574
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 俊樹 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 教授 (30313092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 司 北海道大学, 医学研究院, 講師 (20457055)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞膜 / 膜張力 / 細胞融合 / 破骨細胞 / アクチン細胞骨格 / BARドメイン / F-BARドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
RAW264.7細胞をRANKL刺激し、光ピンセット顕微鏡を用いて細胞膜張力を測定・比較した。その結果、はRANKL刺激による破骨細胞分化誘導により、未刺激細胞に比べて優位に細胞膜張力が低下していることが明らかとなった。また、細胞膜張力の発生を反映するERMファミリータンパク質のリン酸化抗体を用いた細胞染色により、RANKL刺激後のリン酸化ERMレベルを測定したところ、破骨細胞分化に伴ってERMタンパク質のリン酸化が減弱していることが観察された。また、細胞膜張力を恒常的に上昇させるため、活性型ezrinを安定的に発現させたRAW264.7細胞株においては、細胞膜張力の低下が起こらないことが観察された。これらの結果は、細胞膜張力の抑制が細胞融合に必要であることを示唆している。 次に、ERMファミリータンパク質のノックダウンによる発現抑制実験により、細胞膜張力と細胞融合の関係を検討した。その結果、ERMノックダウン細胞ではコントロール細胞と比較して、RANKL刺激後70時間において細胞融合が促進することが観察された。興味深いことに、野生型RAW264.7細胞を用いてRANKL刺激後の細胞ライセートを抽出し、各ERMファミリータンパク質の発現レベルを比較したところ、ezrinのタンパク量が著しく減弱していた。プロテアソーム阻害剤であるMG132処理による影響は見られなかった。さらに、reverse-transcription PCR法によるmRNAレベルでの比較においてもezrinの発現は減少していた。これらの結果から、ERMファミリータンパク質のうち、ezrinが破骨細胞分化誘導において転写レベルでの制御を受けており、それに伴う細胞膜張力の減少が破骨細胞融合に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
細胞融合における細胞膜張力の実測を行い、その関係性を明らかに出来た。また、細胞膜張力の形成に中心的な役割を担うERMファミリータンパク質のノックダウン実験により、分子レベルでの裏付けを取ることが出来ただけでなく、当該ファミリータンパク質の一つであるezrinが細胞融合過程で発現レベルでの制御を受けるという予想外の結果を得ることが出来た。以上の理由から、本計画は当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として、ERMタンパク質に加えて細胞膜張力のもう一つの制御因子であるイノシトールリン脂質に着目する。特に、PI(4,5)P2のリン酸化と脱リン酸化を担う酵素であるPIP5KおよびINPP5の発現により、当リン脂質の細胞膜における量を増減した際に、細胞融合に与える影響を検討する。 また、細胞膜張力の増減を感知し、アクチン重合を制御する因子であるBARスーパーファミリーに着目した研究も進める。具体的には、マウスゲノムに存在するBARスーパーファミリー遺伝子約30種類のノックダウンスクリーニングを行い、破骨細胞分化および細胞融合に及ぼす影響を検討していく。
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