2022 Fiscal Year Annual Research Report
ホロトランスロコン複合体による効率的タンパク質分泌の構造基盤
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22H02586
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
塚崎 智也 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80436716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (80291334)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | タンパク質の輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の膜透過は基本的な生命現象であり、細胞質で新規に合成されたタンパク質の膜を越えた輸送はすべての生物が持っている。真正細菌では SecYEG 複合体(真核細胞の Sec61 複合体に対応)を中心とした超分子複合体が、タンパク質の分泌などの輸送を担う。バクテリアでは「Sec 因子と YidC から構成されるホロトランスロコンと呼ばれる過渡的な超分子複合体が存在」すると考えられている。申請者らを含むいくつかのグループから、各構成因子の立体構造情報が報告され、タンパク質輸送の分子メカニズムの詳細が明らかとなりつつある。しかしながら、未だSecYEG を含む超分子複合体の全体像やタンパク質膜透過の実態は可視化されていない。タンパク質輸送の分子メカニズムの詳細を解明するために、Sec因子・YidCから構成される膜タンパク質超分子複合体の構造決定ならびに動的構造解析を進めた。タンパク質膜透過時に形成するSecY-SecAを含む複合体は、ホロトランスロコンの中枢である。この領域をナノディスクに再構成したサンプルを用いたクライオ電子顕微鏡による構造解析と高速原子間力顕微鏡による動的構造解析が、特に進展した。クライオ電子顕微鏡解析では予備的に4オングストローム分解能を超えるマップを得ることができた。また、高速原子間力顕微鏡の解析では、タンパク質輸送条件下における SecA の構造変化を見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の共同研究者が想定外の時期に異動したことで、その研究者は Sec の解析に携わることができなくなった。これにより、サンプルの調整や測定に予想以上の時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要のSecY-SecAのクライオ電子顕微鏡による解析と、高速原子間力顕微鏡による解析は順調に進展しており、続けて解析を進める。また、SecYを含む巨大複合体の解析については、安定に精製できるよう実験条件の検討を進める。状況によりクロスリンク剤を用いた固定も利用する。
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