2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H02588
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
久保 稔 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (90392878)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 天然変性タンパク質 / クリプトクロム / 体内時計 / DNA光修復 / 動的構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラミドモナスの動物型クリプトクロム(CraCRY)は、(1)光による体内時計の遺伝子調節(クリプトクロム機能)に加えて、(2)光を用いたDNAの修復(光回復酵素機能)も行うbi-functionalタンパク質である。クリプトクロムと光回復酵素が共通祖先から分子進化・機能分化していく中で、CraCRYは二つの機能を獲得した。CraCRYは、光受容補因子FADを保持した光回復酵素様のドメインの末端に、天然変性領域が付け足された構造をもっている。本研究では“FADの化学状態と天然変性領域のダイナミクスの連関”に焦点を当てて、CraCRYの二機能制御機構を明らかにする。 CraCRYのFADは生体環境に応じて、①酸化型、②セミキノン型(クリプトクロム機能における暗状態)、③還元型(クリプトクロム機能における明状態かつ光回復酵素機能の休止状態)の3つの化学状態をとる。本年度はそれら3状態のCraCRYの調製方法を確立し、X線小角散乱による天然変性領域の構造解析を試みた。天然変性領域は切断し易い性質があったが、①酸化型と③還元型の安定な取り扱い方法を確立し、現在までに、①酸化型のX線小角散乱データを再現性よく得ることに成功している。天然変性領域は完全なランダムコイル状態でなく、準コンパクトな構造をとる描像が明らかになりつつある。一方、時間分解紫外分光を用いて、③還元型CraCRYのDNA修復を観測することにも成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①酸化型および③還元型のCraCRYについて、天然変性領域を含む全長試料の安定な取り扱い方法を確立し、すでにいくつかの実験データが得られているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
X線小角散乱に加えて、NMRや円二色性分光、分子シミュレーションなどの手法を多角的に用いて、①酸化型CraCRYと③還元型CraCRYの天然変性領域の構造を比較する。また、②セミキノン型の調製方法が確立していないため、その確立を急ぐ。一方、③還元型CraCRYが光回復酵素として働くときのダイナミクスを、他生物種の光回復酵素と比較しながら明らかにする。
|
Research Products
(2 results)