2022 Fiscal Year Annual Research Report
Collective mechanics and regulation of mitotic kinesins for spindle assembly
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22H02590
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
島本 勇太 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 准教授 (80409656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠 星治 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任講師 (80609743)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 有志分裂 / 紡錘体 / 分子モーター / 微小管 / キネシン結合因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
紡錘体は微小管を基礎に分裂期の細胞内に一過形成される染色体分配装置であり、その構造破綻は染色体分配エラーを通してがんや不妊症と密接に関係する。本研究ではこの紡錘体形成の分子機構を明らかにするため、特に有糸分裂期に活性化される数種のキネシンとその制御因子TPXの相互作用に着眼し、インビトロ再構成の手法を使って機能解析を行った。当該年度は、当初計画に従って、HEK293細胞を利用したTPX2の発現精製系を確立した。TPX2は仮説の検証に必要な数種類を準備した。また共同研究者と共に別の制御因子の発現精製も進めた。準備したコンストラクトを使用して、TPX2の微小管上での結合動態、運動能、隣接微小管の架橋特性等の解析を蛍光一分子イメージング顕微鏡を使って実現した。微小管架橋特性の解析については、その極性を高信頼で決定可能な手法を確立した。さらにTPX2存在化で4量体キネシンの一種であるEg5の微小管上でのATP依存的運動と微小管の架橋特性を詳細に可視化解析できる実験システムを構築し、未同定の機能を発見した。またこれとは独立に高速原子間力顕微鏡や電子顕微鏡を使った超分子構造の解析も進め、キネシン制御因子が示す非構造性ダイナミクスや微小管上での複合体形成能について新たな洞察を得た。これと並行して、次年度以降の目標である他種の4量体キネシンの解析準備を研究分担者と協力して進め、発現精製系の立ち上げと精製サンプルの活性評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、紡錘体形成因子の生物物理学的解析に必要なタンパク質コンストラクトの発現精製系を確立し、複数因子の混合による分子動態解析をインビトロ再構成実験により達成できたため。また当初の予定を超えて、高速原子間力顕微鏡等を使った分子構造動態の解析と次年度以降に予定していた他因子の発現精製、活性評価も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、当該年度に確立したサンプル調製手法とイメージング解析手法を基礎に、これまで解析されてこなかった微小管高次構造内でのTPX2の生化学、生物物理学特性の解析を予定通り進める。具体的には、TPX2が微小管束への局在時に示す極性選択性や架橋の力学安定性を蛍光イメージングと分子モーターとの混合アッセイにより調べる。またこれに加えて、TPX2の超分子構造と複合体形成について当該年度に洞察が得られた電子顕微鏡やAFMを使った研究も継続する。次年度は光ピンセットを使った分子操作実験も予定しており、TPX2が架橋する微小管束の結合強度や曲げ剛性、他の微小管因子の呼び込みや排除など、新たな生物物理学機能の探索を進める。また次年度にもう一つ予定のXenopus卵抽出液を使った解析についても準備を進めており、精製インビトロ系で得られた知見の細胞質環境での検証実験も進める。
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Research Products
(6 results)