2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of membrane-transforming biomolecular machines: Theoretical study of their oligomerization and conformational change
Project/Area Number |
22H02595
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki Research Facilities, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
岡崎 圭一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 計算科学研究センター, 准教授 (50792529)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生体分子マシン / 分子シミュレーション / 粗視化モデル / 構造変化 / 細胞膜 / GTP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、GTP加水分解エネルギーを用いて細胞膜変形・切断・融合という力学的仕事をする細胞膜変形分子マシンが、いかにして多量体形成とヌクレオチド状態依存的な構造変化を動的に組み合わせて膜変形を行っているかを粗視化分子動力学シミュレーションにより解明するのが目的である。初年度である今年度は、まず、クライオ電子顕微鏡(電顕)データに基づいてダイナミン多量体構造のモデリングを行った。クライオ電顕による高分解能構造は存在するが、原子構造としては一部しかデータベースに登録されていないため、電顕マップに基づいてダイナミン多量体の原子構造をモデリングした。そして、粗視化分子モデルMARTINIを用いて、チューブ状細胞膜(脂質二重膜)を作成後、膜上にダイナミン多量体を配置したシミュレーション系をセットアップした。ここで、GTP分子やMgイオンといったMARTINIモデルでは必ずしも標準的でない小分子・二価イオンも明示的に入ったモデルを構築することができた。このシミュレーション系は、粗視化モデルとはいえ(粗視化された)水分子も明示的に入ったモデルのため50万粒子数以上の大規模系であるが、分子動力学計算を行なってダイナミン中のPHドメインが膜へ結合する様子を確認できた。さらに、チューブ状細胞膜切断に最小限必要なダイナミン多量体構造を同定するため、ダイナミン・モノマー数やGドメイン界面数を変えた様々な部分系のシミュレーションを行い、その安定性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイナミン多量体・チューブ状細胞膜系のシミュレーションはあまり先行研究がなく、多少時間はかかったがシミュレーション系をセットアップできたので、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヌクレオチド状態依存的な構造変化のシミュレーションを行い、それがどのように脂質膜切断につながるのかを明らかにしたい。まず、現在用いているGTP状態open構造から加水分解後のclosed構造をモデリングする。その後、実際に構造変化のシミュレーションを行い、多量体構造の再配置や、脂質膜の狭窄につながるかを観察する。これにより、ダイナミンの構造変化がどのような多量体構造の変化を引き起こすのか、それが段階的に起こるのかそれとも協同的に起こるのか等を明らかにする。さらに、脂質膜の狭窄に、どの程度のダイナミン多量体構造が必要になるのか、最小限必要な多量体構造を明らかにする。構造変化のシミュレーションには、まずスイッチング・ポテンシャル法を試す。その結果次第で、方法・モデルの改良を行なっていく。
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Research Products
(2 results)