2023 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子の機能的発現を可能にするクロマチンドメインの構築原理解明
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22H02599
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹林 慎一郎 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (50392022)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クロマチンドメイン / 染色体 / DNA複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
BAF複合体は,ATP依存的にクロマチン構造を変化させるSWI/SNFクロマチンリモデリング複合体の一種として知られているが,その機能は不明な点が多く残っている。申請者のこれまでの研究で,BAF複合体の遺伝子破壊変異により,活性型クロマチンドメインから抑制型への構造変化を見出している(Takebayashi et al.,2013)。前年度までにBAF複合体依存的に形成される活性型ドメインにおいてBAF複合体の結合が見られるゲノム領域を複数箇所同定し,CRISPR-Cas9ゲノム編集技術を用いてそれらの領域をそれぞれ欠失させた変異マウスES細胞の作製に成功している。今年度は,欠失領域のクロマチンドメイン形成における役割を検証するために,E/L Repli-seq法を用いたゲノム網羅的なクロマチンドメイン解析を作製した変異細胞で行った。その結果,活性型ドメインの形成に関わる候補ゲノム領域の同定に成功した。興味深いことに,ドメイン内に存在する複数のゲノム領域が協調的に働いて活性型ドメインを形成していることが示唆された。この結果を元にさらに欠失範囲を狭めた変異体の作製を進めて検証したところ,数Kbレベルまでドメイン形成に関わる領域を絞り込むことができた。一方で,CRISPR-Cas9ゲノム編集技術を用いて活性型クロマチンドメイン形成に必要な境界領域の同定も試みたが,そのようなゲノム領域の存在を示す実験的証拠は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロマチンドメイン形成に関わる機能ゲノム配列の絞り込みに成功するとともに,ドメイン形成の原理についていくつかの新知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
クロマチンドメイン形成に関わる候補配列を異所的にゲノムに挿入した細胞株を作製し,活性型ドメインの再構築活性を検証していく。候補配列の部位特異的挿入には,phiC31リコンビネースとattB-attPシステムを用いる。ドメイン再構築活性の検証には,クロマチンドメインを検出できるE/L Repli-seq法を用いる。
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