2022 Fiscal Year Annual Research Report
複製フォークとDNA-蛋白質複合体衝突により惹起される複製ストレス応答機構の解明
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22H02603
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 雅俊 九州大学, 薬学研究院, 教授 (30270713)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 複製ストレス応答分子機構 / 複製フォークとDNA-タンパク質複合体衝突 / SLX4 / RAD52 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ヒト細胞においてlacO-LacI相互作用を利用した 解析モデル系を樹立し、リピート配列上の「DNA-タンパク質複合体」に衝突した複製フォークが誘導するストレス応答を研究している。今年度は研究計画に沿って研究を進め以下のような結果を得た。
SLX4-XPF集積の分子メカニズム解明 :lacO-LacIモデル系では、SLX4-XPFが初期応答分子として機能していると考えられる。しかし、SLX4がlacO領域にリクルートされる分子機構は明らかではない。2022年度までの研究から以下のことが明らかとなってきた。① SLX4 N末ドメインは、そのユビキチン結合モチーフ依存的かつRNF168ユビキチンリガーゼ依存的にリクルートされるが、この集積はXPFの集積に必須ではない。② SLX4のC末ドメインもlacO領域にリクルートされる。
RAD52経路選択メカニズムおよびその関連経路(BIR、TLS等)の解明 :lacO-LacI複合体が誘導する複製ストレス部位には、相同組換え修復因子RAD51は集積せず、SSA反応を行うRAD52が集積する。そこでRAD52の上流および下流経路の解明を進めている。2022年度までの研究から以下のことが明らかになりつつある。① RAD52の集積は部分的に53BP1に依存している。② RAD52の下流ではMus81とPolδが機能しており、BIR様の反応が起きていると予想される。③ RAD52の下流ではPol θも機能しているかもしれない。④ RAD52を抑制すると、REV1の集積が増加する。さらに、Pol κ集積が増加する可能性も見えつつある。この経路が、RAD52抑制下でlacO領域の複製完了が促進される原因の一つかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように、期待通り新しいデータが得られたから。
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Strategy for Future Research Activity |
SLX4-XPF集積の分子メカニズム解明 上述の結果を踏まえ、以下のように研究を進める。① SLX4 N末ドメインとC末ドメインの集積タイミング等の異同の解明。② C末ドメイン集積に必要なモチーフの同定。③ XPFの集積は、C末ドメインに依存するという作業仮説の検討。これらを併せ、SLX4-XPF集積メカニズムを明らかにしたい。併せて、SLX4-XPFの下流で働くヌクレアーゼの同定も目指す。現時点で、BLMとDNA2がSLX4依存的に集積するというデータを得つつあり、その意義の解明を目指す。
RAD52経路選択メカニズムおよびその関連経路(BIR、TLS等)の解明 本年度は上述の所見を明確なものにするために実験を重ね、作業仮説の証明を進めたい。例えば、RAD52抑制下でのlacO領域複製完了の促進が、siRNAによるRev1やPol κの抑制により解除されるか等も検討したい。
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Research Products
(5 results)