2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of roles of sphingomyelin in the formation of membrane structures in epithelial cells
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22H02618
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池ノ内 順一 九州大学, 理学研究院, 教授 (10500051)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 上皮細胞 / タイトジャンクション / コレステロール / スフィンゴミエリン / 膜ドメイン / クローディン / パルミトイル化修飾 / ZO |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞のバリア機能を担うタイトジャンクションを構成する膜タンパク質の同定が進んだものの、脂質と膜タンパク質が集合体を形成し、細胞膜構造の形成に至る過程はほとんど明らかになっていない。私たちの以前の研究から、タイトジャンクションはコレステロールや極長鎖脂肪酸を含むスフィンゴミエリンに富む特徴的な脂質組成の膜領域であることを明らかにした(Shigetomi et al. J Cell Biol 2018)。今年度、マウス乳腺由来上皮細胞のEpH4細胞を用いて、EpH4細胞に発現している6種類のクローディンのアイソフォームをすべてノックアウトしたCld null細胞を樹立した。フリーズフラクチャー法により、Cld null細胞ではTJが形成されていないことを確かめた。次にCld null細胞に、(1)ZOタンパク質との結合に必要なPDZ結合モチーフの4アミノ酸を欠損させたクローディン変異体(DelYV)、(2)パルミトイル化修飾部位である4つのシステイン残基をセリン残基に置換して、コレステロールに富む膜ドメインとの親和性を失わせた変異体(4S)を発現させた。これまで、ZOタンパク質がクローディンの局在を規定し、TJ形成を促すと考えられてきたが、予想外なことにDelYV変異体は、野生型クローディンと同様にタイトジャンクション領域に集積し、TJストランドを形成したが、一方、コレステロールとの親和性を失った4S変異体は、ZOタンパク質と結合する活性を残しているにも関わらず、ラテラル膜に分布し、TJの形成を回復しなかった。このようにタイトジャンションの形成においてコレステロールが集積した膜ドメインがクローディンの集積を促す足場として必須の役割を果たすことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス乳腺由来上皮細胞のEpH4細胞を用いて、EpH4細胞に発現している6種類のクローディンのアイソフォームをすべてノックアウトしたCld null細胞を樹立し、クローディンの集積とは独立に、コレステロールや極長鎖脂肪酸スフィンゴミエリンが集積された膜ドメインが形成されることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
上皮細胞の細胞接着領域の形質膜に極長鎖脂肪酸スフィンゴミエリンやコレステロールを集積させる分子機構について研究を進める。
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