2022 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the role of intracellular cholesterol transport in cell physiology
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22H02620
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐伯 恭範 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 客員准教授 (30794458)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コレステロール / 膜接着部位 / 脂質輸送タンパク質 / 神経細胞 / ステロイドホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、主に細胞内コレステロール輸送機構に注目し研究を行った。具体的には、進化学的に保存されたコレステロール輸送タンパク質の一群を欠損させた、ノックアウトマウスおよび線虫を作成し、その表現系解析を行った。その結果、コレステロール輸送タンパク質が欠損すると、神経細胞の機能に異常が生じることがわかった。また、興味深いことに、コレステロール輸送タンパク質を欠損させた線虫においては、ステロイドホルモンの分泌異常に関連する表現系が見つかった。ステロイドホルモンは、コレステロールを原料として作られているため、この結果は、コレステロール輸送タンパク質が線虫において、ステロイドホルモン産生に非常に重要な役割を担っている可能性があることを示唆している。また、これらコレステロール輸送タンパク質が保有しているコレステロール感知領域のアミノ酸配列に変異を加えることにより、コレステロール輸送タンパク質のコレステロール感知能を大幅に変化させることが可能であることがわかった。それゆえ、適度なアミノ酸変異を加えたコレステロール感知領域と蛍光タンパク質を融合させることにより、細胞内においてコレステロール分布を可視化することが可能であると考えた。これらの結果に基づき、現在、新規コレステロール感知プローブの開発を進めている。また、種々のコレステロール輸送タンパク質が細胞内でいかに協調してコレステロール分布を調整しているかを突き止めるため、スピニング共焦点顕微鏡および全反射顕微鏡を用いて、コレステロール輸送タンパク質を欠損させたノックアウト細胞を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の主な目標として、細胞内コレステロール輸送機構の生理的役割に関しての研究を推し進めていくことを挙げていたが、ノックアウトマウスとノックアウト線虫の解析に大きな進展があり、おおむね目標を達成出来たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、顕微鏡および生化学的手法を駆使し、細胞内コレステロール輸送メカニズムに関する研究をさらに推し進めていきたいと思っている。また、熊本大学・生命資源研究・支援センターの先生方との共同研究を積極的に行い、令和5年度以降にもつながる研究を行なっていきたいと考えている。
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