2023 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素種による緑藻の光走性調節分子機構とその生理的意義の解明
Project/Area Number |
22H02642
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
若林 憲一 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (80420248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 寛 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (60222113)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クラミドモナス / 走光性 / ROS |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は緑藻クラミドモナスの光走性の正負が細胞質の活性酸素種(ROS)量に応じて調節されることを明らかにした。これを可能にする分子機構は何か?そして、この制御機構には光合成生物にとってどのような生理的意義があるのか?これらの問題を、解明することが本研究の目的である。本年度は以下の3つの実験を柱に研究を遂行した。 ①2022年度に同定した、負の光走性を強く示す変異株の原因遺伝子はある種のキナーゼであるとわかった。そのターゲットの第一候補である光受容体のリン酸化状態を検証した。Phos-tagによるクラミドモナス全細胞タンパク質サンプルのリン酸化状態検証実験の条件検討を重ねた結果、この光受容体はターゲットではないことがわかった。今後リン酸化プロテオームなどを視野に入れたターゲット検証を行う。 ②ROSシグナルの可視化を試みたが、いくつかのセンサータンパク質がどれも発現誘導できなかった。先行研究で開発されたものを購入したものだが、発現ベクターのDNA配列には問題がなく、いまのところ原因がはっきりしない。今後導入条件検討を重ねるとともに、別のセンサーを使うことを検討する。 ③光走性が生残性に与える影響を、「野生株」「正の光走性しか示せない株」「負の光走性しか示せない株」「非運動性株」を用いて、致死的な強光下に日陰を設置して検証した。その結果、意外なことに株間で生残性の違いに大きな違いは見られなかった。今後光条件を再検討して、光走性の生理的意義を再検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ROSの可視化実験だけが多少滞っているが、他は当初予定していた実験がほぼ計画通りに、一部は計画より早く進行しており、総じて順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ROSシグナルの可視化については、予定していた先行研究で開発されたセンサータンパク質だけでなく、別のセンサーの導入も検討する。そのほかは2023年度に行った実験の延長を行うことで計画が進むと期待できる。
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[Book] 分子細胞生物学 第9版2023
Author(s)
Lodish,Berk,Kaiser,Krieger,Bretscher, Ploegh, Martin, Yaffe, Amon著,堅田利明,須藤和夫,山本啓一監訳, 岩井佳子,上村慎治,北川大樹,齋藤康太,坪井貴司,富田泰輔,名黒功,仁科博史,宮澤恵二,山本啓一,若林憲一訳
Total Pages
1112
Publisher
東京化学同人
ISBN
9784807920518