2022 Fiscal Year Annual Research Report
Integrative analysis of redox regulation in photosynthetic electron transport
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22H02651
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
園池 公毅 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30226716)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 光合成 / レドックス制御 / クロロフィル蛍光測定 / 微小吸収変化測定 / プラストキノン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光合成のある制御因子の酸化還元状態が、別の制御因子の酸化還元状態にどのような影響を与え、その相互作用が光合成の制御に全体としてどのように影響を与えるのかを統合的に明らかにすることを目的としており、初年度の2022年度は、主に以下の2つの方向から研究を進めた。 項目1.補助金により購入した、多波長における微小吸収変化を同時測定することにより複数の光合成電子伝達成分の酸化還元状態を推定するDual-Klas-NIR(Walz社)を用いて、電子伝達成分を様々な条件で測定する方法を検討した。一般的な測定方法については、研究コミュニティーへ公開することとし、そのプロトコールを解説記事と共にWEB上で公開した(http://www.photosynthesis.jp/proto/DualKLAS.html)。 項目2.シアノバクテリアの定常状態におけるクロロフィル蛍光が、過剰な光から光合成系を守るエネルギー放散システムとして働いている可能性を発見し、このシステムが光合成電子伝達鎖の酸化還元状態とどのような関係にあるのかを解析した。 項目3.プラストキノンの酸化還元状態によりレドックス制御されることが知られているステート遷移について、共同研究により、これを調節する可能性のある遺伝子を抽出し、その遺伝子破壊株の表現型を解析することにより新規の調節メカニズムを明らかにしようとする研究を開始した。現在、1つの遺伝子について光合成の調節に重要な役割を果たしている可能性が見つかったため、当該遺伝子が本当に表現型の原因となっていることを確認する実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費で購入した測定機器の運用なども順調に進んでおり、得られた研究成果は学会発表などにもつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要の欄に示した項目1については、陸上植物における測定は可能になっているものの、シアノバクテリアにおける測定条件を確立するには至っていないため、今後はその方法論を確立し、その上で、項目2のエネルギー放散システムのメカニズムの解明にも役立てていくことを考えている。このほか、項目3に関して、酸化還元状態によって制御されるステート遷移にかかわる新しい因子のさらなる解析も進める予定である。
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