2023 Fiscal Year Annual Research Report
Integrative analysis of redox regulation in photosynthetic electron transport
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22H02651
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
園池 公毅 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30226716)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 光合成 / レドックス制御 / クロロフィル蛍光測定 / 微小吸収変化測定 / プラストキノン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シアノバクテリアの光合成のある制御因子の酸化還元状態が、別の制御因子の酸化還元状態にどのような影響を与え、その相互作用が光合成の制御に全体としてどのように影響を与えるのかを統合的に明らかにすることを目的としている。二年目となる2023年度は、昨年度に新たに発見したステート遷移(フィコビリソームの移動による光合成集光機構の制御メカニズム)の制御因子とみられる遺伝子について、その調節メカニズムを明らかにするてめの研究を推進した。 その結果、当該遺伝子の欠損は、(1)フィコビリソームの量自体には影響を与えないこと、(2)そのレドックス変化がステート遷移の調節の引き金になると考えられているプラストキノンの酸化還元状態には影響を与えないこと、それにもかかわらず(3)ステート遷移は見られなくなること、の3点を見出すことができた。すなわち、この遺伝子は、プラストキノンのレドックス状態に影響を与えるのではなく、レドックス状態の感知よりも下流の過程に関与していると結論できる。 さらに、この遺伝子は、陸上植物にまで保存された1対のシステイン残基を持っており、しかも、チオレドキシンとの相互作用が見られたという報告もあることから、光化学系Ⅰの還元側のレドックスによる調節にもかかわっている可能性がある。陸上植物は、当然ながらフィコビリソームを持っていないため、保存されたシステインの部分がレドックス感知に働く一方、残りの部分が、それぞれの生物種における様々な調節機構にかかわっているとの仮説を立て、2024年度以降研究を推進することにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた研究成果は学会発表などにもつながっており、上記のステート遷移の制御因子にかかわる論文も投稿することはできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、ステート遷移の制御因子のシステイン残基が本当にレドックス制御にかかわっているのか、などについて、システインの置換株の作成などを通して検証していく予定である。もし、この制御因子が、従来ステート遷移の制御に大きな役割を果たしていることが明らかになっていたプラストキノンのレドックスのみならず、光化学系Ⅰの還元側のレドックスの感知にも働いていることが明確になれば、2つのレドックスのシグナルの統合のメカニズムなどについて明らかにしていく必要が生じると考えている。
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