2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms and evolution of stem-cell-promoting CLE signaling in land plants
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22H02676
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
平川 有宇樹 学習院大学, 理学部, 助教 (60736669)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 分裂組織 / 陸上植物 / 進化発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼニゴケのMpCLE2ペプチドシグナルの標的遺伝子候補として得られたMpJIN遺伝子について、デキサメタゾン(DEX)誘導株の表現型を観察した。無性芽をDEX含有培地で育成して透明化と3Dイメージングを行った結果、分裂組織中の幹細胞領域で組織表層に平行な面の細胞分裂(並層分裂)が見られた。DEX含有培地から非含有培地に移して育成を続けた場合には、分裂組織からの成長が停止した一方で、葉状体のローブに異所的な分裂組織様構造が形成された。したがって、MpJINの過剰発現は幹細胞維持を阻害することが示唆された。 蛍光タンパク質マーカーを用いてMpJINのプロモーター活性を解析した結果、幹細胞領域内で不均一なパターンを示すことが明らかとなった。幹細胞領域の中央部に位置する細胞では発現が検出されない一方で幹細胞領域の周縁部では発現が高まっていた。分裂組織が拡大するMpCLE2過剰発現体の背景では、MpJINプロモーター活性の低い細胞と高い細胞が交互に並ぶようなパターンを示し、幹細胞領域内の細胞群に遺伝子発現レベルでの違いがあることが示唆された。遺伝子機能解析の結果とあわせ、MpJINは幹細胞運命の決定因子の1つである可能性が考えられる。 生殖器托形成を指標としたMpCLE2サプレッサースクリーニング系について、MpCLV1など既知のシグナル伝達経路の遺伝子についてのゲノム編集を行った。その結果、ゲノム編集株ではMpCLE2機能獲得型変異体の生殖器托形成が回復した。 裸子植物におけるCLEの解析のため、イチョウの実生における遺伝子発現を調べた。発芽後の植物体から頂端部を切り出してRNA抽出を行った。RNA量には実験区ごとのばらつきがやや大きかったものの、JINホモログ遺伝子群の発現を検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼニゴケの実験については幹細胞領域の観察手法がおおむね確立され、当初の計画以上に進展している。イチョウの実験については剪定等の影響により材料の確保に影響が出たためやや遅れている。全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼニゴケの幹細胞領域について、JINおよびその他のレポーター株を用いて分枝期での発現パターンをより詳細に観察する。JINのDEX誘導株を用いて、JINの下流遺伝子を探索するためのRNA-seqを行う。生殖器托形成を指標としたスクリーニング系について、候補遺伝子群のゲノム編集コンストラクトを作出し、順次スクリーニングを行う。裸子植物における解析のため、イチョウの実生における遺伝子発現の解析を続ける。分裂組織の形態観察とCLEペプチドの活性解析を実施する。
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