2023 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms and evolution of stem-cell-promoting CLE signaling in land plants
Project/Area Number |
22H02676
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
平川 有宇樹 学習院大学, 理学部, 助教 (60736669)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 分裂組織 / 陸上植物 / 進化発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、ゼニゴケMpCLE2ペプチドシグナルの標的遺伝子候補としてMpJIN転写因子が得られ、幹細胞の細胞分裂(並層分裂)を調節する機能を持つことを見出していた。MpJINの作用機序を解明することを目的として、MpJIN-GR過剰発現誘導株を用いたRNA-seqを行った。デキサメタゾンでの誘導処理後0, 3, 6, 12, 24時間のサンプルを用いて実験を行った結果、多数の発現変動遺伝子群が得られた。遺伝子オントロジーから詳細な解析を行う遺伝子の候補を選抜した。 蛍光タンパク質マーカーを用いたMpJINプロモーター活性の解析から、MpJINの発現に幹細胞領域において空間的な不均一性があることを見出していた。このパターンの時間変動を調べることを目的とし、無性芽から1日おきに4日間サンプリングしてMpJIN発現パターンを観察した。その結果、二叉分枝が起こる3日目付近では、MpJINが幹細胞領域全体で発現するようになり、その後の分枝の完了に伴って不均一なパターンが再度現れることが分かった。 MpCLE2標的候補遺伝子のうちMpJIN以外の遺伝子についても発現パターンと機能解析を行うため、プロモーターレポーター株とゲノム編集株の作成を行った。 生殖器托形成を指標としたMpCLE2サプレッサースクリーニング系について、育成環境によっては表現型のぶれが生じることが分かった。そのため、再度条件検討を行う必要が生じた。 イチョウの実験については、発芽した種子が少なくサンプルが少ないものの、分裂組織の透明化と共焦点顕微鏡観察を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼニゴケの実験については幹細胞領域の観察が進むとともに、遺伝子機能の解析も進んでおり、当初の計画以上に進展している。イチョウの実験については材料の確保や発芽に影響が出たためやや遅れている。全体としてはおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ゼニゴケの幹細胞領域について、複数のレポーター株の観察を進めるとともに、ライブイメージングの方法を検討して幹細胞領域におけるレポーターの発現変動を細胞レベルで観察する。MpJIN標的遺伝子候補として絞り込んだ遺伝子群について、細胞内局在の観察を行う。生殖器托形成を指標としたスクリーニング系について、安定的な実験条件として照射する光条件の検討を行う。MpCLE2標的候補遺伝子のうち、MpJIN以外の遺伝子についての分子遺伝学的解析を進める。裸子植物におけるCLEの解析については、透明化による組織構造の観察とCLEペプチドの生物活性の解析を行う。
|