2022 Fiscal Year Annual Research Report
分子生態プロセス解析法を用いたミジンコ個体群の不安定化機構の解明
Project/Area Number |
22H02701
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 泰彦 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60415932)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミジンコ / 臨界減速 / マイクロコズム / 生物学的プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
ミジンコはマイクロコズムを使うことで実験室内で個体群レベルの解析が可能であり、またゲノム情報の解読やゲノム操作技術も進展してきたことから、高次の現象をゲノムレベルでアプローチすることが可能となってきた。本研究では、ミジンコをモデルとして臨界減速現象とよばる個体群の回復が遅れる現象の背後にあるメカニズム、生物学的プロセスを解析することを目指してる。本年度は、本解析に用いるオオミジンコの遺伝子発現情報の整理と細胞解析法の開発を行なった。ミジンコの遺伝子発現情報の整理においては、ロングリード RNA-Seq (Iso-Seq) 解析により得られた遺伝子のアイソフォームを整理し、新規のアイソフォームを同定しただけでなく、各アイソフォームの発現レベル、個体の状態(雌雄差)によるアイソフォームの構造変化のカタログを作成した。その結果、遺伝子発現制御を司る転写因子等をコードする遺伝子において遺伝子発現レベルでは差がないアイソフォームの変化が生じることで、下流の遺伝子発現に影響を与えることを示唆する結果を得て、従来の遺伝子発現解析にアイソフォーム解析を加える重要性を明らかにした。細胞解析法の開発では、胚や成体から細胞を調製する方法を検討した。条件検討には、核移行型 GFP を発現する形質転換体、また赤色蛍光色素によるミトコンドリア染色を行うことで、各蛍光を指標として細胞の状態を評価した。安定に細胞を調製するためのプロトコールを作成した後、本プロトコールを用いて調製した細胞集団から各細胞をフローサイトメーターにより分離して解析するシステムも立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となる遺伝子情報の整理及び細胞解析法の開発に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子発現情報を利用して、個体群における遺伝子発現解析を行う。一方で、フローサイトメーターを用いるなどして細胞を評価し、細胞調製プロトコールを適宜改善することで、ミジンコ個体、もしくは組織から細胞を単離する手法を確立する。そして単離した細胞を用いた遺伝子発現解析を行う。
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Research Products
(14 results)