2023 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated single-cell multiomics analysis of primate brain for elucidating the molecular basis of human uniqueness
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22H02710
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
郷 康広 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (50377123)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒト / チンパンジー / 類人猿 / 進化 / オミックス / 脳 / シングルセル / 霊長類 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトらしさをつかさどるヒト特異的脳細胞を同定するために、ヒトと類人猿の死後脳を用いたシングルセル比較トランスクリプトーム・エピゲノム解析を行った。ヒトや類人猿は実験動物ではないため、新鮮な脳試料を入手することが難しい。そのため、シングルセル解析に通常用いられる生細胞ではなく、凍結試料でも使用が可能であると考えられている細胞核を用いたシングル核解析の実験プロトコル・解析パイプラインを構築し、実験を推進した。シングル核単離プロトコルの構築は、遺伝子発現制御に重要なエピゲノム状態を規定するクロマチン状態(クロマチンが開いていて転写因子などがアクセスできる状態にあるかどうか)を解析する上でも必須である。 令和5年度は、上記で構築・単離したシングル核サンプルを用いて、長鎖型シーケンサーによる1細胞完全長トランスクリプトーム解析と短鎖型シーケンサーによる遺伝子発現とクロマチンアクセシビリティを同一細胞で同時取得するマルチオーム解析を行った。 長鎖型シーケンサーを用いた1細胞完全長トランスクリプトーム解析では、ヒト2検体、チンパンジー1個体、ゴリラ1個体死後脳の海馬から単離したシングル核サンプルを用いて実験と解析を行った。解析の結果、ヒトの海馬において特異的に発現する(チンパンジーやゴリラの海馬においては発現しない)エクソンを持つ遺伝子を多数同定した。その多くは、興奮性および抑制性神経細胞において発現しており、精神神経疾患に関係する遺伝子も多数含まれていた。 短鎖型シーケンサーを用いたマルチオーム解析では、ヒト4検体、チンパンジー6個体、ゴリラ2個体、オランウータン1個体、テナガザル2個体の死後脳の前頭前野から単離したシングル核サンプルを用いてライブラリ作成とシーケンス解析を行い、現在データ解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長鎖型シーケンサーを用いた1細胞完全長トランスクリプトーム解析では、ヒト2検体、チンパンジー1個体、ゴリラ1個体死後脳の海馬から単離したシングル核サンプルを用いて実験と解析を行った。サンプルあたり平均2,400万リードのデータを用いて解析した結果、ヒト(2検体)でそれぞれ24,864遺伝子と210,625アイソフォーム、26,682遺伝子と314,494アイソフォームを得た。同様にチンパンジーとゴリラからも、それぞれ16,113遺伝子と189,751アイソフォーム、14,440遺伝子と59,481アイソフォームを得た。これらを用いて、ヒト特異的な発現エクソンを持つ遺伝子を639遺伝子同定した。その中には、精神神経疾患に関係する遺伝子も多数含まれていた。 短鎖型シーケンサーを用いたマルチオーム解析では、ヒト4検体、チンパンジー6個体、ゴリラ2個体、オランウータン1個体、テナガザル2個体の死後脳の前頭前野から単離したシングル核サンプルを用いてライブラリ作成とシーケンス解析を行い、現在データ解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
短鎖型シーケンサーを用いたマルチオーム解析プラットフォームは、同一細胞(細胞核)から遺伝子発現データとクロマチンアクセシビリティデータのマルチモーダルなデータが取得できるだけでなく、同一ライブラリを長鎖型シーケンサーを用いることで、1細胞完全長トランスクリプトーム解析を短鎖型シーケンサーで用いたものと同じ細胞核で行うことが可能である。つまり、同一の細胞核から、遺伝子発現解析、クロマチンアクセシビリティ解析、アイソフォーム解析の三つの異なるレイヤーの情報が取得可能になる。実際に、マルチオーム解析用に作成したライブラリは長鎖型シーケンサーにも解析可能な状態で保存しており、令和6年度は、それらのライブラリを用いた1細胞完全長トランスクリプトーム解析を行い、ヒトと類人猿4種の三つのモダリティデータを用いた統合解析により、ヒトらしさを担保する分子脳基盤の解明に取り組む。
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[Journal Article] Neuronal DSCAM regulates the peri-synaptic localization of GLAST in Bergmann glia for functional synapse formation2024
Author(s)
Dewa K, Arimura N*, Kakegawa W, Itoh M, Adachi T, Miyashita S, Inoue YU, Hizawa K, Hori K, Honjoya N, Yagishita H, Taya S, Miyazaki T, Usui C, Tatsumoto S, Tsuzuki A, Uetake H, Sakai K, Yamakawa K, Sasaki T, Nagai J, Kawaguchi Y, Sone M, Inoue T, Go Y, Ichinohe N, Kaibuchi K, Watanabe M, Koizumi S, Yuzaki M, Hoshino M
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 15
Pages: 458
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] The admixed brushtail possum genome reveals invasion history in New Zealand and novel imprinted genes2023
Author(s)
Bond DM, Ortega-Recalde O, Laird MK, Hayakawa T, Richardson KS, Reese FCB, Kyle B, McIsaac-Williams BE, Robertson BC, van Heezik Y, Adams AL, Chang WS, Haase B, Mountcastle J, Driller M, Collins J, Howe K, Go Y, Thibaud-Nissen F, Lister NC, Waters PD, Fedrigo O, Jarvis ED, Gemmell NJ, Alexander A, Hore TA
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 14
Pages: 6364
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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