2022 Fiscal Year Annual Research Report
排尿に関与する中枢神経回路の機能的・形態的特性の解明
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22H02718
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
真仁田 聡 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80584135)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 前帯状皮質 / ChR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで多くの研究により、排尿の制御に関わる主要な脳部位が特定されてきた。特に橋排尿中枢の神経細胞は、中枢および末梢神経系の他の部位に接続し、排尿のタイミングを制御していることが明らかになっている。さらに脳の高次機能を司る大脳皮質のひとつである前帯状皮質:anterior cingulate cortex (ACC)が排尿に関与するということがヒトのfMRIによる研究によって示唆されてきたが、ACCの神経活動が排尿を誘起するという直接的な証拠は示されていなかった。近年、我々はPeriaqueductal gray (PAG)へ投射するACCの神経細胞が排尿に同期して活動することも見出してきた。今年度は、ACCの活動に依存して膀胱内圧変化が起こるその詳細を検討した。まず、マウスの膀胱にカテーテルを設置し、一定の流速で膀胱に生理食塩水を注入する。一定の量の生理食塩水が膀胱にたまると、排尿により生理食塩水が排出される。生理食塩水の注入によって、膀胱内圧の上昇、それに続く排尿による内圧の減少が一過性的な変化として観察できる。この一過性の膀胱内圧変化は生理食塩水を膀胱に注入する間、繰り返し観察することができる。この膀胱内圧を観察できるマウスを用いて実験を行った。大脳皮質5層錐体細胞にChR2を発現するThy1-ChRマウスのACCを光刺激すると膀胱内圧が上昇した。コントロール実験における、野生型マウスではACCを光刺激しても膀胱内圧は上昇しなかった。一方で、ACCに存在する抑制性神経細胞の活動をオプトジェネティクス法を用いて活性化し、これによりACCの活動を抑制すると、膀胱内圧変化の時間間隔が伸びた。これは、ACCの活動を抑制すると膀胱内圧上昇が抑制されることを示す。今後は、PAGへ投射するACCの神経細胞を選択的に刺激し、これにより膀胱内圧が変化するかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた研究結果をまとめて、現在投稿論文を準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ACC→PAG→PMC回路は排尿時に活動するかを検討する。膀胱内圧および排尿タイミングを測定し、排尿時にこれらの脳部位が活動するのか検討する。次に、ACC→PAG→PMC回路は排尿に必要であるかを検討する。これらの経路を選択的に抑制したときに膀胱内圧や排尿にどのような影響を与えるか検討する。そして最後に、ACC→PAG, PAG→PMC軸索投射様式を同定する。ACCからPAGへの投射を経路選択的トレーサーによる可視化法により確認する。PAGからPMCの投射においても同様の方法により確認する。
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