2023 Fiscal Year Annual Research Report
LRR膜タンパク質によるセロトニン性神経系の発達制御の破綻による病態の解明
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22H02722
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
有賀 純 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (10232076)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | セロトニン性神経細胞 / LRR膜貫通タンパク質 / 双極性障害 / 疾患モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経系に発現するロイシンリッチリピート(Leucine-Rich Repeat)を含む膜貫通タンパク質(以下、LRR 膜タンパク質)は 中枢神経系のシナプス形成およびシナプス機能維持における役割が注目されてきた。本研究ではどのLRR膜タンパク質がどのような分子機序でセロトニン性神経系の発生・発達を制御するのか、それぞれのLRR膜タンパク質の欠損によって引き起こされたセロトニン神経系の異常は双極性障害の病態とどのように関連するのかを明らかにすることを目的とした。
2023年度はSlitrk5欠損マウスについて、強迫症の病態とどのように関連するのかについての追加解析を行った。その結果、新たな表現型を見いだすことができた。また、セロトニン性神経系の分子マーカーの追加解析を行った。Ntk3をセロトニン性神経で欠損させたマウスについて、多角的な解析を行った。
それ以外の複数系統に対して、行動解析を進めた。新たに複数系統の遺伝子改変マウスを作成した。Slitrk3欠損マウスについて、海外のグループと共同研究を行い、ヒトSLITRK3はてんかん性脳症の原因遺伝子となること、Slitrk3欠損マウスにはてんかんの発作閾値が低下することに加えて、過活動性、音に対して驚く反応が弱くなっていること、初めて遭遇する他のマウスに近づいていく行動が減ること(社会性行動の異常)などの行動異常が起きること、海馬のパルブアルブミン陽性GABA性神経細胞の数が減少することなどの新たな表現型を見いだすことができた。これらの新知見はSlitrkファミリーの神経発達における役割の理解に大きく貢献するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画が予定通り行われたことに加え、てんかん性脳症の病態におけるSlitrkファミリーの役割を明らかにすることができた点、今後のセロトニン系の解析に役立てられる新たなマウス系統を開発できた点、それを用いた基礎実験が行われた点において当初の計画以上に進展しているものと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Slitrk5欠損マウスの新たな表現型についての解析を続行し、完成させる。 2. セロトニン性神経系に内在する異常を持つSlitrk2、Slitrk5欠損マウスなどに双極性障害と関連のある環境ストレスを加えたときにこれらの動物がどのような行動異常を示すかを検討する。
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[Journal Article] Human mutations in SLITRK3 implicated in GABAergic synapse development in mice.2024
Author(s)
Efthymiou, S., W. Han, M. Ilyas, J. Li, Y. Yu, M. Scala, N.T. Malintan, M. Ilyas, N. Vavouraki, K. Mankad, R. Maroofian, C. Rocca, V. Salpietro, S. Lakhani, E.J. Mallack, T.B. Palculict, H. Li, G. Zhang, F. Zafar, N. Rana, N. Takashima, H. Matsunaga, C. Manzoni, Striano, M.F. Lythgoe, J. Aruga, W. Lu, and H. Houlden
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Journal Title
Front Mol Neurosci
Volume: 17
Pages: 1222935
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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