2022 Fiscal Year Annual Research Report
不確実性下の知覚意思決定に関する神経回路動態の解明
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22H02735
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣川 純也 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (40546470)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 不確実性 / 前頭前野 / げっ歯類 / 意思決定 / ウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
動物は環境の不確実性を評価し、その状況に適した柔軟な選択を行う。われわれの知覚意思決定は状況の不確実性に基づきどのように変容するのかそのメカニズムは神経回路レベルではほとんどわかっていない。本研究は、嗅覚、視覚、聴覚など異なる感覚情報に基づく知覚意思決定課題を用いて不確実性に基づく知覚認知バイアスの原因になる神経回路の同定を目指す。最初に報酬に対する待ち時間を利用して匂い弁別の不確実性を評価する行動実験系を確立した。この課題により動物が知覚に基づく不確実性を多段階的に評価し行動として表出できることを明らかにした。この行動実験を用いて前頭前野にNeuropixelsプローブを慢性的に留置し多数のユニット活動を計測した上で単一神経細胞に分離した。今後、タスク中の意思決定変数の符号に関する解析に用いる。さらにシナプス終末から取り込まれ逆行性に輸送されるAAV-retroウイルスベクターを用いて、興奮性・抑制性のロドプシン(ChR2,Jaws)を眼窩前頭皮質ー線条体投射細胞に発現させ、ラットが上記行動課題を行っている最中にその活動を光制御して影響を調べた。現在行動データを解析中である。また、動物にとっての不確実性を評価するにあたって、動物の行動を厳密に制御する必要が生じ、マウスの頭部固定実験系を用いた新たにタスクを開発した。また、不確実性下の聴覚弁別に伴う聴覚皮質における神経表象を明らかにした(Takamiya et al., eNeuro 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光遺伝学を用いた動物の行動への影響の実験は予定通り進みデータを着実に集めることができた。一方でマウスを使った実験系の構築は申請者の所属の変更もあって途上である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は光遺伝学の行動実験の結果の解析、並びにマウスを使った行動実験系の確立を中心に進める。マウスの行動課題を用いて状況の不確実性に対する動物の反応を評価し、疾患動物モデルでの不確実性認知の変化を検証する。さらにNeuropixeelsプローブを用いた多量神経細胞記録と光遺伝学的方法を組み合わせ特定の神経投射細胞を同定した上でその情報表現を特定する。
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Research Products
(7 results)