2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22H02742
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平野 圭一 金沢大学, 薬学系, 教授 (40633392)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ホウ素 / 反応開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、これまで未開拓であったアニリン由来のアミドアニオンを用いたジボロン試薬の活性化を基盤とするアルキンの求核的ボリル化反応と環化反応により、BN置換芳香環化合物群を構築する方法の検討を行った。代表者が以前報告したアルコキシドあるいはカルバニオンを用いるボリル化反応開発研究中にも、アミドアニオンを用いた検討は行ったが、その際には脂肪族アミン由来のアニオンを用いており、目的のボリル化反応は進行しなかった。 試薬の当量、温度等、詳細な反応条件検討の結果、アルキンに対して1.2当量のジボロン試薬を用い、40度で撹拌することで高収率にて目的のBN置換芳香環化合物群が得られることがわかった。 また、基質の適用範囲も広範であり、基質のアルキン末端には多様な電子的、立体的性質を有するアリール基を用いることができた。また、アニリンの芳香環ユニット上にも炭素置換基、ヘテロ元素置換基のどちらもが許容されるなど、極めて多様なBN置換体を与える方法であることを見出している。さらに、ホウ素上への直接的な置換基導入反応を検討したところ、通常のフェニル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドリド基など、多様な修飾化が高収率にて可能であった。研究代表者による先行研究であるボラフェナレン合成においては、ホウ素上の置換基導入は嵩高いアリール基のみに制限されていたこととは対照的結果である。また、ジアミド種を用いた二重環化反応を行うことも可能であり、高度に縮環したBN-PAHを一挙に構築することもできることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年12月に採択当初は予期し得なかった東京から金沢までの異動があり、その準備と実際の研究室移転、着任後の研究環境の整備に多大な時間を要したため。 また、着任後も前任者の研究グループが数ヶ月活動していたことから、自身の研究室の整備が大きく遅延した。まずは計算化学用のワークステーションの購入とセットアップを始めとした環境整備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、異動に際して時間的に大きなロスがあったが、本年度は研究環境が少しずつ整い、実験を開始し、加速していけるものと想定される。まずは、現在投稿準備中のBN芳香環形成反応に関する論文発表を目指した実験を行い、医薬品類縁体の合成を行う。また、ケイ素試薬を用いた反応開発にも着手し、提案したシリル化反応の実現に取り組むとともに、代表者オリジナルの7員環試薬の応用性を検証していく予定である。
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