2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the roles of neural crest derived cells in the pulmonary development .
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22H02774
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
江本 憲昭 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30294218)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経堤細胞 / 肺 / エンドセリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「肺における神経堤に由来する細胞が、外環境の酸素濃度を感知して、出生直後の肺胞形成およびその後の肺の恒常性維持に重要な役割を果たす」 という仮説に対し、エンドセリン系を切り口として、分子遺伝学的手法やイメージング法を駆使して解明することを試みるものである。 当該年度は下記3つのアプローチで研究を進めた。 ①シングルセルRNAシーケンス解析による肺胞形成、恒常性維持に重要なシグナルの同定:前年度に得られた知見である、「ET-2の欠損が肺において活性化された好中球の分画を誘導するメカニズム」を解明し、さらに「活性化された好中球が肺胞形成を阻害するメカニズム」を解析することを目的として、以下の実験を実施した。タモキシフェンによる誘導型ET-2遺伝子欠損マウスを作出し、生後の肺胞形成において異なるタイミングでET-2遺伝子を欠損させ、肺から調製した検体を用いてシングルセルRNAシーケンス解析を実施し、肺で変化する少数細胞の発現遺伝子を抽出し、肺の表現型発現に関与する重要な細胞クラスタや情報伝達経路を同定した。その結果、ET-2の欠損により、極めて相同性の高いアイソペプチドであるET-1とその受容体である ETB受容体を介した情報伝達経路が高度に活性化されていることを明らかにできた。 ②ET-2遺伝子座位へのET-1遺伝子ノックインマウスの作出:ET-1とET-2との間で生物学的機能に違いがあるのかどうかを生体で確認することを目的として、CRISPR-Cas9システムを用いてET-2遺伝子座位へのET-1遺伝子ノックインマウスの作出を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定された研究は、計画通りに進捗しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き肺における肺胞形成および恒常性維持の分子機構に迫る研究を推進する。具体的には現時点での仮説である「ET-2の欠損がET-1の発現亢進を介して好中球を誘導し、惹起された炎症が肺胞形成および恒常性維持を阻害している」ことをエンドセリン受容体拮抗薬やエンドセリン受容体欠損マウスを用いて薬理学的および遺伝学的に証明する。さらに生体におけるET-2とET-1の時空間的な発現制御について野生型マウスおよびET-2イメージングマウスを用いて詳細に検討する。 一方、ET-2遺伝子座位へのET-1遺伝子ノックインマウスはまもなくホモ接合体が作出される予定であり、作出に成功した場合、その表現型について解析を進める。 ET-2の病態における役割の解明のために、気管支肺異形成(BPD)および慢性閉塞性肺疾患(COPD)のモデル動物の作成・解析を継続するとともに、新たに肺高血圧症モデルの作成・解析を試みる。
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Research Products
(1 results)