2022 Fiscal Year Annual Research Report
腹腔内移行経路による腫瘍微小環境編集と難治性腹膜播種治療への展開
Project/Area Number |
22H02778
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
畠山 浩人 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (70504786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 誠 (SanoMakoto) 日本大学, 医学部, 准教授 (70339323)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 腹腔内投与 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腹膜播種 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 腹腔内空間におけるICI・LNP移行の腹腔内臓器選択性の検討:ICIは放射性同位体標識体を腹膜播種モデルへi.p./i.v.投与後、SPECT/CTイメージを行った。その結果、i.p.投与後にICI移行がi.v.投与と比較して向上する臓器として腹膜播種に加え膵臓と卵巣が、一方でi.p.投与で移行が低下する臓器として肝臓や脾臓が検出された (Yamamoto M. J Control Release, 352, 328-337 (2022))。LNPは、蛍光標識体を同様に投与しIVISで観察した。腹膜播種でi.p.投与でi.v.投与の20倍移行量が向上した。また正常臓器の移行性はICIと同様であった。以上より、10nmのICIと100nmのLNPは腹腔内投与後の挙動が比較的類似していることが示された。 (2)LNPの移行に影響する腫瘍微小環境の特異性の検討:MC38腹膜播種モデルに加えて、卵巣癌、膀胱癌、胃癌、膵癌腹膜播種および自然発症モデルを確立した。これらモデルへICIをi.p./i.v.投与後に蛍光免疫染色で臓器内分布を評価した。Binding site barrierや間質による物理的な障壁など、腫瘍微小環境がICIの組織分布に影響することを明らかとした。LNPについても同様で、また腫瘍浸潤マクロファージの影響も強く、これらの腫瘍微小環境要因がLNPの組織分布に影響することを同定した。 (3)ヒアルロン酸分解酵素発現mRNAを封入したLNPによる腹膜播種への送達:ルシフェラーゼをコードしたmRNAを封入したLNPで投与条件を検証した。mRNA封入LNPを腹膜播種モデルへi.p./i.v.投与後、腹膜播種ではi.p.投与でi.v.投与の40倍以上発現活性が向上した。またヒアルロン酸分解酵素をコードしたmRNAを設計し、これらがマウスがん細胞で発現することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究計画については予定通り検証が進んだ。ルシフェラーゼ発現で大きな差があったため、ヒアルロン酸分解酵素の発現についてもi.p.投与でi.v.投与と比較して大きく増加すると考えられるが、内因性のヒアルロン酸分解酵素も存在するため、発現の評価手段の変更を検討している。 腹膜播種、腹腔内腫瘍モデルについては、当初の予定以上にモデル作製をすることが可能となり、これらのモデルを用い、LNPの腫瘍移行性や組織内分布に影響を与える要因について着手している。また正常臓器も含めた臓器移行性については、ICIとLNPでの類似性も含め多くの知見を得られ、ICIについては論文報告した。上より、本課題は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒアルロン酸分解酵素発現mRNAを封入したLNPのi.p./i.v.投与後のヒアルロン酸量を蛍光免疫染色やELISAで評価する。また間質圧の減少が期待できるため、血管透過性の亢進などについて、ヒアルロン酸分解酵素を発現させたのち、ICIをi.v.投与して移行が改善するか検証する。これら機能変化を指標に、ヒアルロン酸の分解の影響を評価する。 また癌腫特異性の検討では、腹膜播種、腹腔内腫瘍モデルの腫瘍微小環境がどのような特徴があるか、構成する細胞を各種マーカーで定量する。またICIやLNPの組織内分布と局在を検証し、どのような因子がICI・LNPの組織内分布の阻害要因となっているかを明らかとする。
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