2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of characteristic early immunometabolism and prognostic markers predicting severity of COVID-19
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22H02833
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 悠毅 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (30590202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
涌井 昌俊 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (90240465)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | COVID19 / 免疫代謝 / メタボローム解析 / イメージング質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の重症化を予測可能な、有効性のあるマーカーは未だ確立されていない。また、予後悪化を決定づける免疫病理学的な因子も明らかで ない。COVID-19の重症化の本態は、SARS-CoV-2感染によって惹起されるサイトカインストームによる過剰免疫炎症応答、結果としての臓器不全 と考えられる。従って免疫炎症応答の増減を反映する分子が、有力な転帰予測マーカーとして期待され、重症化を決定づける免疫病理学的なメ カニズム解明にも資する。この様な背景から、以下を目的とした研究を実施する。 (Aim-1) 報告の乏しい血中低分子マーカーを探索し重症化転帰予測マーカーを同定する。 (Aim-2) 重症患者に特異的な「重症化に至る過剰免疫応答の代謝メカニズム」を解明する。 (Aim-3) 血中低分子マーカーを簡便/迅速/低コストに測定する低分子検査技術を確立する。 このうち、本年度はモデルマウスも用いた実験を行い、Aim-2について、重点的に取り組んだ。
COVID-19では重症化に伴って肺炎が生じるため、モデルマウスを用いて肺ではどのような異常が起こっているのかを可視化した。具体的には、SARS-CoV-2-MA10(COVID-19 の株の一つ)に感染させたマウスと、同じく肺炎を起こす感染症として知られるインフルエンザウイルスに感染させたマウスを用いて、肺の構造や代謝産物を可視化した。 マウスの肺で構造や代謝産物を可視化した結果、後に重症化するマウスの肺では感染初期の段階で気道および血管組織細胞が異常に増殖することがわった。これは感染初期段階において、肺組織のリモデリングが生じることで、全身の代謝に影響を及ぼすことを示唆している。 ヒトの血清サンプルから得られたメタボローム解析の結果と、マウスの肺を可視化した結果から、感染初期段階でのアミノ酸異化物は、後の重症化を予測するのに有効な因子であると結論づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
設定した研究項目を着実に実施し、血中アミノ酸異化物の増加が、COVID19の早期予後因子であることを同定するに至った。またこの成果を論文報告するに至った(Nature Communications 2023)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(Aim-3) 血中低分子マーカーを簡便/迅速/低コストに測定する低分子検査技術を確立する研究に着手し、着実に進展させる。
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