2023 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞由来造血幹・前駆細胞(iHSPC)を用いた免疫制御法の開発
Project/Area Number |
22H02843
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清野 研一郎 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20312845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 はるか 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (70392181)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
MHC適合マイナー抗原不一致のマウス皮膚移植モデルを用い、iPS細胞から作成した造血幹・前駆細胞(HSPC)の移入により拒絶反応を制御できるかどうか検討してきた。iPS細胞からHSPCを分化誘導させるためには、転写因子の遺伝子導入が必要であった。検討した結果、幹細胞の増殖に関与するLhx2並びにHoxB4の発現が有効であった。これらを発現させたHSPCを試験管内で誘導し、マウスに注射した。同種同系の場合はもちろん、前処置を施せばMHC適合マイナー抗原不一致のマウスにも生着することが判明した。同種同系の場合、20週目でのCD45キメラ率は4-5%、そのうちCD11b陽性細胞の割合は10-20%であった。アロの場合も、前処置をしっかり行えば同程度のキメラ率が得られた。このキメラ状態となったマウスにiPS細胞を同系統の皮膚を移植したところ、高効率で生着することが判明した。また、皮膚だけでなくiPS細胞そのものを移植した場合も奇形腫として生着することが判明した。メカニズムとしては、CD11b陽性Gr-1陽性のMDSC、またFoxP3陽性の制御性T細胞の増加が認められた。これらの結果から、再生医療において、iPS細胞由来HSPCを用いた免疫制御により免疫抑制剤なしの移植が可能であることが示された。さらに、完全アロの組み合わせにおいてもコスティミュラトリーシグナルの阻害を併用することにより、HSPCを用いた方法により皮膚移植編の生着が得られた。これらの結果から、iPS細胞由来HSPCを用いた免疫制御法は幅広く免疫疾患の治療に応用できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HSPCの分化誘導、生体に投与した際のキメラ誘導、移植実験の結果が概ね順調であるから。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでiPS細胞から誘導したHSPCの免疫制御能に着目してきたが、最近、iPS細胞そのものに免疫寛容誘導能があることを発見した。今後はその方向の研究も進める予定。
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Research Products
(1 results)