2023 Fiscal Year Annual Research Report
胆汁酸ヒト化マウスを用いたNAFL/NASH/HCC進展メカニズムの解明
Project/Area Number |
22H02853
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60532687)
池上 正 東京医科大学, 医学部, 教授 (40439740)
岩本 淳一 東京医科大学, 医学部, 教授 (10384950)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | マウスモデル / 胆汁酸 / 非アルコール性脂肪肝 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスは医学研究に最も広く用いられている動物である。しかし、胆汁酸組成がヒトと大きく異なるため、胆汁酸の関与が推測される代謝疾患や発癌に関して、従来の研究結果をヒトに外挿するには注意が必要である。この問題を解決するために、本研究では我々が開発した胆汁酸ヒト化ダブルノックアウト(DKO)マウスを用いて、これまでより格段にヒトに近い非アルコール性脂肪肝(NAFL)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)/肝細胞癌(HCC)のモデルを作製し、胆汁酸が病態の進展に与える影響を解明することを目的としている。令和5年度は新しいNAFL/ NASH/ HCCモデルの作製が完了し、モデルの解析を行なった。解析内容と結果の要点は下記の通りである。 (1)肝臓の病理組織解析を行い、ワイルドタイプ(WT)マウスでもDKOマウスでも高脂肪高ショ糖食(HFHSD)で飼育するとNASHとなるが、進展した線維化や発癌はDKOマウスでのみ認められた。 (2)胆汁酸分析を行ったところ、HFHSDの長期投与によりWTでは胆汁酸プールサイズが減少したが、DKOでは逆に増加していた。DKO-HFHSDマウスでは、特に肝組織中の胆汁酸濃度上昇を認め、胆汁酸分画ではケノデオキシコール酸(CDCA)が有意に増加していた。 (3)RNA-SeqおよびReal-time PCR解析では、加齢と共にDKO-HFHSDマウスでは、新規に合成される胆汁酸の組成を決定するCyp8b1が顕著に抑制されていることが特徴的だった。一方、脂肪酸合成系の促進と分解系の抑制による肝脂質の蓄積は、WTかDKOかに関わらず認められ、このモデルでのNASH進展のKey factorは胆汁酸組成(CDCA)であることが予測された。また、得られたデータから、発癌のメカニズムについても考察を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集と解析の大部分が終了し、追加実験を残すのみとなっている。既に論文執筆を開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
論文の完成までに、発癌メカニズムに関してもう少し追加実験が必要な可能性がある。追加実験を行いながら、本年度中に論文の投稿を目指したい。
|