2023 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of establishment and maintenance of intractable lymphoblastic leukemia from the viewpoint of hidden drivers
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22H02856
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
都築 忍 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00342965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 貴彦 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, 分子診断研究室長 (20723977)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | hidden driver / regulon |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の遺伝子解析技術の進歩により、遺伝子変異を有するドライバー遺伝子が数多く同定されてきた。しかし、そのドライバー遺伝子の機能阻害が容易でない場合、また単独阻害では治療効果が不十分な場合も多い。 本研究では、ドライバー経路と併存する第2の経路が、治療標的となる可能性を探究する。この第2の経路は、遺伝子変異を伴わないので、異常が見えにくい、つまり隠れたドライバーにより成立する。 具体的には、急性Bリンパ芽球性白血病(B-ALL)を対象として、その成立・維持の機構をregulonの面から見直す。遺伝子発現に影響を与える転写因子・シグナル分子をregulatorとした場合、このregulatorとその下流で影響を受ける遺伝子群のセットがregulonである。B-ALLには23種類のサブタイプがあり、サブタイプごとにregulatorとそのregulon活性は大きく異なる。本年度は、予後不良なサブタイプに特徴的に高活性で、かつ治療標的としての可能性があるregulatorを抽出した。 最初に、① 本邦約300例、欧米約1000例のB-ALLの遺伝子発現データから、システムバイオロジー的アプローチにより、病型特異的なregulonとregulatorを同定した。次に、② その中から、予後不良病型に特異的で、疾患の成立に必須のregulatorを、細胞株を利用したCrisprスクリーニングによって絞り込んだ。このregulatorを抑制する薬剤の効果も検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本邦急性Bリンパ性白血病(B-ALL)約300例、European Genome-Phenome Archiveから海外約1100例分のB-ALLの遺伝子発現データを取得して、regulonおよびそのregulator活性を算出し、B-ALLの各病型に特徴的に高活性のregulatorを抽出した。 次に対象を予後不良病型に絞り、予後不良B-ALLで特徴的に活性の高いregulonsおよびregulatorsを抽出した。 次に、予後不良B-ALLについて、細胞株を用いて、抽出したregulatorsの機能を抑制可能な薬剤を選別し、種々のサブタイプのB-ALL細胞株にアプライして増殖抑制活性を検討し、選択性の高い薬剤を見出すことができた。 さらに、網羅的に治療標的となるregulatorを見出すために、予後不良B-ALLを対象に、細胞株を用いた、Crisprスクリーニングを実施し、その候補を抽出した。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出したregulonsとregulatorsの中から、予後不良B-ALLの成立・維持に重要なものを網羅的、機能的に絞り込む作業を継続する。Crisprスクリーニングと薬剤スクリーニングを併用して行う。 B-ALLには、主に遺伝子転座のタイプにもとづいて20数種のサブタイプがあるので、各サブタイプごとに異なるregulatorsと隠れたドライバーがあることが想定される。さらに、各サブタイプには、ドライバー遺伝子の種類によって、有効性が想定されていながら単剤では有効性が低い薬剤が知られている。薬剤によってドライバーの機能を阻害した場合に、隠れたドライバーの機能をさらに阻害することで、治療効果が増強することが想定されるので、この点からもスクリーニングと検証を行う。 In vitroで効果が見られたものについて、B-ALLマウスモデルを用いて、in vivoでregulator活性の抑制の治療効果を検証する。
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