2023 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染病態を決定する炎症性臓器環境の形成原理の解明
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22H02874
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川口 敦史 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90532060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 美香子 (広浜美香子) 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (60814655)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
A型インフルエンザウイルス(IAV)の感染に応答して、標的細胞である気道上皮細胞から炎症応答が惹起される。次いで、炎症応答によって感染組織にマクロファージや好中球が遊走し、感染細胞は貪食・排除される。一方、遊走したマクロファージから過剰に炎症性サイトカインが産生され、生体防御とのバランスが破綻すると病態は増悪する(サイトカインストーム)。生体防御と炎症病態のバランスは、ウイルス側の要因に加えて、宿主の遺伝要因や臓器環境に依存し、加齢によっても変容する【インフラムエイジング、inflamm(炎症) + aging(老化)の造語】。本研究では、気道上皮細胞でのウイルス認識後、マクロファージへと炎症シグナルが伝達して、サイトカインストームに発展する分子機構を明らかにする。また、宿主遺伝要因や加齢による恒常性の破綻により、感染感受性が増悪するメカニズムや炎症性臓器環境が形成される原理を明らかにする。 令和5年度では、令和4年度に同定したMxAに対する感受性が異なるH7N9亜型鳥インフルエンザウイルス臨床分離株を用いた解析を進め、MxAが認識しやすいウイルス株はFIP2依存的に輸送され、Rab11陽性の凝集体を細胞質で形成することを明らかにした。凝集体形成を制御するウイルス側要因の同定を進めているところである。一方、ASCプリオンの細胞間伝播による炎症応答機構を明らかにするため、組換えASCタンパク質を用いて、ASCプリオンを再構成することに成功し、マクロファージに貪食させることで炎症応答を誘導することができた。精製ASCプリオンを用いることで、安定に炎症応答を評価することができるようになり、さらに詳細な解析が可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MxAに対する感受性が異なるウイルス株の輸送に関連する分子を同定することができ、今後も順調な研究成果が期待できる。ASCプリオンの再構成系も構築することができ、今後の貪食レセプターのスクリーニングが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
異常局在を示すウイルスRNPを単離し、その要因を明らかにする。また、ウイルスRNPとMxAの相互作用場を明らかにする。siRNAライブラリーを導入したマクロファージにASCプリオンを貪食させ、プリオン様伝播に関与する遺伝子群の同定をめざす。
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