2022 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular dissection of IgA antibody response by developing monoclonal IgA antibodies from nasal mucosa of mice
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22H02875
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
黒澤 信幸 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (50241253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 誠一 富山大学, 学術研究部工学系, 特命助教 (10431686)
谷 英樹 富山県衛生研究所, ウイルス部, 部長 (20397706)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 経鼻ワクチン / IgA / SARS-CoV-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫グロブリンA(IgA)は、単量体として血清中に、分泌型多量体として粘膜分泌液中に存在する。経鼻ワクチン接種は、分泌型多量体IgAの産生を刺激することから、SARS-CoV-2感染防御のための魅力的な戦略であると考えられている。 現在、経鼻ワクチンの有効性評価は、免疫動物の鼻腔洗浄液中に含まれるポリクローナルな抗体の力価測定に依存しているため、経鼻免疫により鼻粘膜組織に誘導される「個々の抗体の質と量」についての解析は全く行われていない。また、経鼻免疫により全身免疫が誘導されることが報告されているが、そのメカニズムには不明な点が多い。これらは、経鼻ワクチンの実効組織である鼻腔粘膜組織からモノクローナルIgA抗体を作製することが困難であったためである。 この欠点を克服するため、本研究では、シングルセルソーティング法を用いて、鼻粘膜組織由来形質細胞から効率よく抗原特異的IgA抗体遺伝子をクローン化する手法を開発し、本技術を用いてSARS-CoV-2スパイクタンパク質を経鼻免疫した3匹のマウスの鼻腔粘膜組織由来形質細胞から99個の、脾臓、血液、肺由来形質細胞から114個の抗原特異的モノクローナルIgAまたはIgGを取得した。これら抗体の重鎖及び軽鎖遺伝子の配列解析を行った結果、脾臓、血液、肺から取得された抗体は、鼻粘膜由来IgAクローンと共通および固有の体細胞変異を有していた。よって非粘膜組織に存在する抗原特異的形質細胞は鼻腔粘膜で刺激されたB細胞に由来することが明らかになった。次に、異なるエピトープを認識する4種類のIgA抗体クローンを選別し、これらから単量体および分泌型多量体IgAをそれぞれ発現・精製することに成功した。分泌型多量体IgAは主に、二量体と四量体として存在していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シングルセルソーティング法を用いて、鼻粘膜組織由来形質細胞から効率よく抗原特異的IgA抗体を作成する手法を開発し、本技術を用いてSARS-CoV-2スパイクタンパク質を経鼻免疫マウスの鼻腔粘膜組織及び非粘膜組織由来形質細胞から多数の抗原特異的モノクローナルIgAまたはIgGを取得することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
異なるエピトープを認識する4種類のIgA抗体クローンから作成した単量体および分泌型多量体IgAを用いて、これら抗体の武漢、デルタ、オミクロン株スパイクタンパク質に対する親和性、武漢、デルタ、オミクロン株スパイクタンパク質RBDへのACE2結合阻害活性、スパイクタンパク質シュードウイルスに対する中和活性を比較解析することで、分泌型多量体IgA抗体のウイルス感染防御に果たす役割を明らかにする。
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Research Products
(1 results)