2022 Fiscal Year Annual Research Report
Targeting Treg cells in cancer immunotherapy
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22H02920
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 淳 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (00724105)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / がん免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫応答の抑制的制御に特化した細胞である制御性T細胞は、多くの腫瘍組織に大量に浸潤しがん免疫応答を抑制する。本研究では、制御性T細胞を選択的に除去し、免疫抑制を解除することで、どのようにがん微小環境の免疫応答を変化させ腫瘍に対する免疫応答を増強するかについて、その分子的基礎を明らかにし免疫動態機序に基づいたがん免疫療法の開発を目的としている。その理解は、既存のがん免疫療法や全身性Treg除去の副作用である自己免疫病を回避し、安全で効果的ながん治療法および予防法の開発に重要と考えられる。本年度は、制御性T細胞の選択的な除去により誘導される免疫応答の変化について、担がんマウスを用いた解析を実施した。特に、腫瘍に浸潤する制御性T細胞の除去前後における各細胞群の免疫関連分子(副刺激・副抑制分子等)の発現変化に焦点をあて、分子発現レベルの増減に相関したがん免疫応答の動態を明らかにした。また、腫瘍浸潤制御性T細胞の除去には、複数の免疫原性の異なった腫瘍マウスモデルを用い、除去前後におけるがん免疫応答の動態を解析した。さらに、これらのモデルで制御性T細胞除去により腫瘍が退縮したマウスに、同一腫瘍の再接種に対するがん免疫応答の効果を検証した。一方、腫瘍浸潤制御性T細胞の除去法として、正常組織の免疫細胞群に対する影響の少ない除去法を検討し、がん免疫応答を賦活しつつ副作用としての自己免疫病を回避する方法の開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的の達成に向けて、腫瘍における制御性T細胞の選択的な除去により誘導される免疫応答について分子発現レベルで解析を進め、多くの有用な結果を得た。今後の研究に用いる実験等の準備状況にも問題ないことから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、腫瘍に浸潤する制御性T細胞の除去により、抗原特異的なT細胞の免疫応答を中心としたがん免疫応答の変化および賦活化の解析を進める。特に、抗原特異的なT細胞の活性として、抗原認識によるTCRシグナル誘導を指標に、免疫応答の賦活機序を明らかにしていく。
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