2023 Fiscal Year Annual Research Report
αシヌクレインが引き起こす凝集構造多型と疾患多様性獲得機序の解明
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22H02951
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
望月 秀樹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90230044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 渓太 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (20815500)
AGUIRRE・MARTINEZ CESAR 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (20865597)
池中 建介 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70774058)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | αシヌクレイン / 構造多型 / 疾患構造多型 / パーキンソン病 / 多系統萎縮症 |
Outline of Annual Research Achievements |
αSynと結合する脂質をメンブレンストリップ法で探索したところ、ホスファチジルイノシトール3リン酸(PIP3)が強く結合することを見出しました。さらにPIP3とαSynを混ぜたところ、αSynが異常な構造をもつ凝集体を作ることがわかりました。この凝集体の形や性質を調べたところ、いくつかあるαSynが蓄積する病気の中で、特にパーキンソン病患者さんの脳内で蓄積するαSyn凝集体と形や性質が類似していることを明らかにしました。次に、培養細胞や神経細胞においてPIP3が蓄積する処置をすると、リソソームやシナプス終末といった、実際のPD患者でαSynが凝集を開始する場所においてPIP3と一緒に凝集蓄積するαSynが観察されました。PD患者の脳組織のPIP3の量を、質量分析や免疫染色を用いて測定したところ、PD患者において過剰に蓄積していることがわかりました。さらに免疫染色でαSyn凝集体とPIP3が一緒に凝集していることを示しました。これらの結果から、PIP3の過剰な蓄積が、PD患者においてαSynのレビー小体形成のきっかけになっていることを示唆し、これまで明らかにされてこなかったαSyn凝集のきっかけの一部を解き明かしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、αシヌクレインの凝集にかかる因子を順調に同定しており、計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
PIP3との結合を阻害する薬剤のスクリーニングをする。αSynはN末端とNAC領域でPIP3と結合している。αSynの同部位に結合し、PIP3との結合を拮抗阻害するような薬剤をスクリーニングする。また、PIP3以外の候補として、ポリアミンを想定している。ポリアミンがPDにおいてどの程度量的に変化しているのかを質量分析顕微鏡を用いて検討する。質量分析顕微鏡は大阪大学工学部との共同研究で行う。さらに、構造多型の決め手となる分子内結合についてさらに理解を深めて、細胞内で起こるどのような分子変化が構造多型を決めているのか明らかにする。
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