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2023 Fiscal Year Annual Research Report

認知症治療標的としてのミクログリアによるアストロサイト制御機構に剖検脳から迫る

Research Project

Project/Area Number 22H02995
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

他田 真理  新潟大学, 脳研究所, 准教授 (30646394)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 池内 健  新潟大学, 脳研究所, 教授 (20372469)
竹林 浩秀  新潟大学, 医歯学系, 教授 (60353439)
加藤 隆弘  九州大学, 医学研究院, 准教授 (70546465)
柿田 明美  新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
KeywordsCSF1R / microglia / astrocyte / neuropathology
Outline of Annual Research Achievements

本研究の特徴は、1) ALSPの患者脳の解析から見出した、恒常性ミクログリアの不足とアストロサイトの過剰反応に着想をえて、ミクログリアとアストロサイトの相互制御機構に着目した点、2) ALSP患者の剖検脳を用いて、単一核遺伝子発現解析と、10×genomics社の最新の手法であるVisium空間的遺伝子発現解析により、網羅的にRNA発現解析を行い、直接的に患者脳における遺伝子発現変化をとらえ、鍵分子を同定する点である。
本年度は昨年度の結果を踏まえて、VisiumについてはFFPE切片の方が信頼性が高いと判断し、さらにALSP例、対照例の切片を追加で行った。サンプルのDV200値が基準以上であるRNAの質が保たれているサンプルを用いることで、安定してデータを得ることができる様になった。ミクログリアについて両手法から得られたデータを統合し、空間情報を有する遺伝子発現情報としてALSPとコントロールを比較検討した。その結果、ALSPにおけるミクログリアでは、疾患特異的な遺伝子発現を示す群は指摘できず、一方で、組織学的に推測されている様に恒常性マーカー遺伝子が発現低下しているミクログリアが主要なクラスターを形成していることがが確認された。一方で、炎症性マーカーの発現が上昇している一群が局所で見られ、アストロサイトとともに特徴的な微小環境を形成していることが見出された。現在、遺伝子発現解析から得られたデータの妥当性を検証するために免疫染色を進めており、いくつかの分子の免疫染色でクラスターの特徴が描出された。
snRNA-seq及びVisium空間的遺伝子発現解析のデータが概ね揃い、検証も順調に進捗している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は昨年度の結果を踏まえて、VisiumについてはFFPE切片の方が信頼性が高いと判断し、さらにALSP例、対照例の切片を追加で行った。サンプルのDV200値が基準以上であるRNAの質が保たれているサンプルを用いることで、安定してデータを得ることができる様になった。ミクログリアについて両手法から得られたデータを統合し、空間情報を有する遺伝子発現情報としてALSPとコントロールを比較検討した。その結果、ALSPにおけるミクログリアでは、疾患特異的な遺伝子発現を示す群は指摘できず、一方で、組織学的に推測されている様に恒常性マーカー遺伝子が発現低下しているミクログリアが主要なクラスターを形成していることがが確認された。一方で、炎症性マーカーの発現が上昇している一群が局所で見られ、アストロサイトとともに特徴的な微小環境を形成していることが見出された。現在、遺伝子発現解析から得られたデータの妥当性を検証するために免疫染色を進めており、いくつかの分子の免疫染色でクラスターの特徴が描出された。
snRNA-seq及びVisium空間的遺伝子発現解析のデータが概ね揃い、検証も順調に進捗している。また、ミクログリア以外の細胞の特徴的遺伝子発現変動解析も進め細胞間の解析も行なっており、ミクログリアとアストロサイトの局所での活性化や、ミクログリアとオリゴデンドロサイトで関連して変動する遺伝子も検出されており、概ね順調に進行していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、ミクログリアとアストロサイトのsnRNAseqと空間的遺伝子発現解析が概ね終了した。今後はミクログリアとアストロサイト以外の中枢神経系構成細胞、オリゴデンドロサイトやOPC、神経細胞、血管内皮について、順次解析を進める。ミクログリアとアストロサイトが連関してproinflammatoryな微小環境を形成していることが見出されたため、その組織学的検証を進める。また、ミクログリアとオリゴデンドロサイトやOPCの相互連関が 細胞間の解析で見出されてきているため、白質障害機序に結びつく可能性を考え、その妥当性も検証を進める。本研究では、副次的に皮質の層構造や、白質といった解剖学的位置依存性のミクログリアやアストロサイトの遺伝子発現プロファイルが描出された。解剖学的位置依存性のグリアの遺伝子発現プロファイルの理解は脳恒常性維持の理解につながる可能性があり、このデータの蓋然性については、組織学的に各クラスターのマーカー分子の免疫染色やin situ hybridizationで十分に確認作業を進めてゆく。
ALSP例で今年度見出された所見については、最終的には患者由来のiMG細胞やミクログリアが減少するモデルマウスを用いた検証を行ってゆきたい。

  • Research Products

    (11 results)

All 2024 2023 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 3 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] Washington University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Washington University
  • [Journal Article] Slow disease progression and characteristic TDP-43 inclusions in a patient with familial amyotrophic lateral sclerosis carrying a TARDBP G357S variant2024

    • Author(s)
      Sainouchi M, Oginezawa S, Tada M, Ishihara T, Onodera O, Kakita A.
    • Journal Title

      Neuropathol Appl Neurobiol.

      Volume: 50 Pages: e12966

    • DOI

      10.1111/nan.12966.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Alzheimer病2023

    • Author(s)
      他田真理
    • Journal Title

      病理と臨床 臨時増刊号 病理診断クイックリファレンス

      Volume: 41 Pages: 335

  • [Journal Article] 脳アミロイド血管症2023

    • Author(s)
      他田真理
    • Journal Title

      病理と臨床 臨時増刊号 病理診断クイックリファレンス

      Volume: 41 Pages: 337

  • [Journal Article] 多発性硬化症2023

    • Author(s)
      他田真理
    • Journal Title

      病理と臨床 臨時増刊号 病理診断クイックリファレンス

      Volume: 41 Pages: 338

  • [Journal Article] Human early-onset dementia caused by DAP12 deficiency reveals a unique signature of dysregulated microglia2023

    • Author(s)
      Zhou Y, Tada M, Cai Z, Andhey PS, Swain A, Miller KR, Gilfillan S, Artyomov MN, Takao M, Kakita A, Colonna M
    • Journal Title

      Nat Immunol

      Volume: 24 Pages: 545-557

    • DOI

      10.1038/s41590-022-01403-y.

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] ヒト剖検脳を用いた一次性ミクログリア病の病態研究.2023

    • Author(s)
      他田真理
    • Organizer
      第42回日本認知症学会学術集会
    • Invited
  • [Presentation] Histological and molecular studies of primary microgliopathies using autopsied human brains.2023

    • Author(s)
      他田真理
    • Organizer
      第64回日本神経病理学会総会学術研究会
    • Invited
  • [Presentation] 脱髄・白質脳症.2023

    • Author(s)
      他田真理
    • Organizer
      第17回 診断病理サマーフェスト
    • Invited
  • [Book] 非腫瘍性疾患病理アトラス 中枢神経2024

    • Author(s)
      新井信隆 編集 他田真理
    • Total Pages
      291
    • Publisher
      文光堂
    • ISBN
      978-4-8306-0494-2
  • [Remarks] Nasu-Hakola病におけるミクログリアの遺伝子発現シグネチャーを同定

    • URL

      https://www.bri.niigata-u.ac.jp/research/result/001866.html

URL: 

Published: 2024-12-25  

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