2022 Fiscal Year Annual Research Report
難治性血管炎の単一細胞解析による不均一性の解明とRNA誘導型組織修復法の開発
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22H03040
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
王 英正 岡山大学, 大学病院, 教授 (50372579)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 川崎病 / 単一細胞解析 / マイクロRNA / Crispr-dCas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
川崎病モデルマウスをday-0, 7, 14, 28日目にかけて、心臓内におけるCD45陽性細胞ならびにCD45陰性細胞にわけてsmall RNA sequencingを行った。また、収集したCD45陽性細胞を用いた二次元のt-SNE解析では、マクロファージ(8 clusters)、好中球(3 clusters)、T細胞(5 clusters)、B細胞(2 clusters)、natural killer細胞(1 cluster)、樹状細胞(3 clusters)、リンパ球(1 cluster)、また、CD45陰性細胞集団より、線維芽細胞(3 clusters)、血管内皮細胞(4 clusters)、平滑筋細胞(2 clusters)を同定した。川崎病血管炎モデルにおける炎症7日目での好中球発現プロファイルでは、既報のIL1alpha/beta、Mmp8の発現上昇とともに、Cxcl2, Cxcl3, Cxcl10がIL6やTnf-alphaの産生に寄与し、さらに、IFN-gamma誘導性guanylate-binding proteinsの発現上昇をはじめ、Neutrophilic granule proteinやMapkなどのカスケードを活性化させ、心筋組織の繊維化工程に誘導することを明らかにした。一方、マクロファージclusterでは、炎症後14日目にCcl6, Ccl7, Ccl8, Ccl24の発現上昇を認め、また、T細胞clusterでは、Th17サイトカインがcluster 2, 4に高発現し、Cd4, Tnfsf11を介してT細胞の活性化させ、炎症後21日目には制御性T細胞が主体となり、IL-2, IL3, IL23などの発現に伴い、炎症を収束させる代償性免疫応答機構のプログラムが活性化された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
川崎病マウスモデルの樹立、炎症各ステージにおける心臓内CD45陽性並びに陰性細胞を純化精製後small RNA sequencing及び単一細胞解析まで進められたことは概ね計画通りと言える。炎症が惹起された初期フェーズおよび組織修復に関わる後期フェーズそれぞれに対して、候補small RNA及び転写因子の選定に、中軸となる炎症性サイトカインの情報伝達経路を予測プログラムを組み入れることで、最短で最も特異的な候補因子群への絞り込み作業を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータを総括し、さらなる狭義的解析に進めるにあたって、small RNAならびに各種転写因子間における情報伝達の活性化経路を予測するPROGENyプログラムを用いた推測工程を必要としている。IL1aplha/beta, TGF-betaやNF-kappabといった既知の炎症活性化カスケードを主体に候補因子に関する絞り込みを行い、最適な治療対象となる免疫細胞種の選定と候補small RNAを併用したCrispr-dCas9システムによる細胞標的RNA調節型lentivirusを樹立していく。
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