2023 Fiscal Year Annual Research Report
難治性血管炎の単一細胞解析による不均一性の解明とRNA誘導型組織修復法の開発
Project/Area Number |
22H03040
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
王 英正 岡山大学, 大学病院, 教授 (50372579)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 川崎病 / 血管炎 / 単一細胞解析 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
small RNA sequencing及び単一細胞解析により、血管炎の病態発症における時期特異的なmRNA発現量やmicroRNA(miR)の変化量を経時的に追跡できた。miRのKEGG enrichment predictionならびにBioinformatics的な手法であるTargetScanを用いて予測データを融合し、miRとmRNAの統合解析を行った。THP-1細胞にマクロファージのクラスター解析により同定したmiR-145-5p及びmiR-320aを導入するとIL-6やTNF-alphaといった炎症性サイトカインの惹起が観察された。一方、血管内皮細胞のクラスター解析により判明したmiR-125-5p, miR-186,はSMAD6/MAPKならびに MKK-7/Caspace-3を活性化し、内皮細胞のアポトーシスを誘導する。また、miR-27bはTGF-beta/SMAD7を制御しHUVECの増殖を抑制することを明らかにした。さらに、炎症初期での内皮細胞におけるmiR-223-3pの発現低下も重要であり、IGF-1やIL-6受容体の非翻訳領域に結合することで、炎症性転写因子群であるSTAT3やNF-kBを抑制することを確認した。以上の基盤データに基づき、Crispr-dCas9システムによる細胞特異的miRの制御法を構築した。血管内皮細胞を標的とするmiR-126aをsgRNAとし、dCas9-VPRを用いてmiR-27bを過剰発現させるlentivirus用constructを作成した。また、マクロファージに関しては、miR-155をsgRNAとし、miR-233-3pを過剰発現させ、逆に、dCas9-KRABを用いて、miR-145-5p及びmiR-320aを同時に抑制するlentivirus vectorを構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
川﨑病モデルマウスにおける心臓内CD45陽性細胞ならびにCD45陰性細胞を純化精製後、small RNA sequencing及び単一細胞RNA sequencingのデータを融合させ解析した。血管炎の病態修飾に最も寄与する血管内皮細胞とマクロファージに特化するmiRに絞り込み、かつ血管炎の急性期炎症を鋭敏に制御しうる複数のmiRsを解明し、それぞれにおける標的RNAsならびに特異的な情報伝達経路を明らかにした。同定した合計4種類のmiRsの過剰発現もしくは抑制系Crispr/dCas9システムへの遺伝子組み替えにも成功しており、概ね研究計画通りに進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
樹立したlentivirusを増幅させ、川崎病モデルマウスに投与することで、同定した候補miRsがin vivoにおいても予想された炎症カスケードの鎮静化や冠動脈瘤の形成抑制作用があるかどうかを詳細に確認する。また、臨床実用化に向けて、lentivirusにとって替わる脂質性ナノ粒子にmiR導入システムを封入し、川崎病モデルマウスにおける治療効果及び安全性について検討する。
|