2022 Fiscal Year Annual Research Report
新生児期のケトン体代謝を介した心筋成熟・心内微小環境構築機序の解明
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22H03044
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
有馬 勇一郎 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (60706414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 信次朗 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (00448523)
辻田 賢一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60571263)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ケトン体代謝 / 心筋成熟 / エピゲノム / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児期におけるケトン体合成の意義を明らかにするため、ケトン体合成の律速段階酵素HMG-CoA synthase2(Hmgcs2)のノックアウトマウス(Hmgcs2 KO)および、コンディショナルノックアウトマウス(Hmgcs2 flox)を用いて表現型の解析をおこなった。 生後7日目の心臓を採取し、免疫組織染色で比較した結果、分裂中の細胞を標識するPhospho histone (pH3)陽性細胞数が、心筋細胞および内皮細胞のいずれの細胞種でもケトン体合成不全マウスで増加していた。加えて、心筋細胞では野生型と比較して、ケトン体合成不全状態では心筋断面積の有意な縮小を確認した。続いて、心臓から単離した核を用いて、1核RNA-Sequencing解析を実施した結果、未成熟な心筋分画がHmgcs2 KOマウスで増加していることが確認された。一連の解析結果から、ケトン体合成不全状態では、心筋細胞の正常な成熟が遅延していること、内皮細胞においては心臓成熟過程で生じる血管リモデリングが変化していることが明らかとなった。 ケトン体代謝には、エネルギー基質としての作用以外にも、シグナル伝達、ミトコンドリア保護、そしてエピゲノム制御作用といった働きを持つことが知られている。この中でも特に、申請者はミトコンドリア保護・エピゲノム制御作用を介した機能に注目しており、現在両作用の変化を検証するための実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケトン体合成不全状態で生じる心筋・内皮細胞の変化を明らかにし、一核解析まで実施して表現型を確認することができた。機序に関しても想定した機序が順調に検証できており、実験計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きケトン体代謝の多面的な作用に注目した解析を続け、心内微小環境に及ぼすケトン体代謝の意義を明らかにする。
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