2022 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄生物学から紐解く膵癌難治化機構の解明と治療応用
Project/Area Number |
22H03051
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正宗 淳 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90312579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20231798)
濱田 晋 東北大学, 大学病院, 助教 (20451560)
田口 恵子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20466527)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 活性硫黄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究初年度として、Cars2ヘテロノックアウト付加KPCマウスの作製を実施した。Cars2ヘテロノックアウトKPCマウス(膵特異的変異Kras, p53発現)、Cars2ヘテロノックアウトKCマウス(膵特異的変異Kras発現)が得られ、野生型KPCマウスと同様に生後90日まで生存することを確認した。Cars2ヘテロノックアウトKCマウス膵組織においては前癌病変であるpancreatic intraepithelial neoplasmの形成数が減少する傾向がみられた。Cars2ヘテロノックアウトKPCマウス1頭で膵発癌がみられたが、組織型は野生型KPCマウスと類似した腺癌を呈していた。Cars2ヘテロノックアウトマウスより膵星細胞を分離し、SV40導入により不死化し細胞株を樹立した。樹立細胞株は10%ウシ胎児血清添加DMEMにて継代可能であったが、野生型膵星細胞株に比べて細胞増殖能・遊走能は低下していた。Cars2ヘテロノックアウト膵星細胞の酸化ストレス耐性を評価するためにマレイン酸ジエチル処理後の細胞生存率を野生型膵星細胞株と比較したが、Nrf2欠損膵星細胞株とは異なり明らかな脆弱性は認めなかった。我々はこれまでにヒトおよびマウス膵星細胞の培養上清刺激が膵癌細胞の増殖を促進することを報告してきたが(Takikawa, Pancreas 2017; Tanaka, AJP-GI 2021)、Cars2ヘテロノックアウト膵星細胞株の培養上清刺激ではむしろ増殖が抑制されることが判明した。処理後のKPCマウス膵癌細胞株では細胞周期の抑制因子であるp21発現が増加し、促進因子のcyclin D1は減少していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性硫黄の合成に不可欠なCars2発現が減少した膵癌モデルマウス・細胞株が樹立されており、解析対象となる組織・細胞の蓄積が進んでいる。活性硫黄合成系の改変に伴う細胞機能の変化も見出され、進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
Cars2ヘテロノックアウトKPCマウス・KCマウスの膵組織における活性硫黄のプロファイルを野生型KPCマウス・KCマウスと比較予定である。膵星細胞と膵癌細胞の相互作用においてCars2ヘテロノックアウトにより影響を受ける責任分子につき、マイクロアレイなど網羅的解析により解明する。
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