2022 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt5a-Yap axisによる心筋細胞メカノトランスダクション制御機構の解明
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22H03075
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
塩島 一朗 関西医科大学, 医学部, 教授 (90376377)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Wnt5a / メカノトランスダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
Wntは分子量約4万の分泌蛋白で、細胞表面の受容体に結合するリガンドとして機能する。Wntによって惹起される細胞内シグナルのうちβ-カテニンに依存しないPCP経路とCa2+経路をnon-canonical(非古典的)Wntシグナルと呼び、non-canonical Wntシグナルを活性化する主なリガンドとしてWnt5a、Wnt11が知られている。Wnt5a、Wnt11が心臓発生に必須であるとの報告はあるが、成人期の心臓におけるnon-canonical Wntシグナルの病態生理学的意義については明らかになっていない。報告者らは心筋特異的誘導型Wnt5aノックアウトマウスおよびWnt5aをノックダウンした培養心筋細胞を用いた研究から、①心筋細胞由来のWnt5aが心不全を増悪させること、および、②心筋細胞由来Wnt5aは転写共役因子Yap活性化を介して心筋メカノトランスダクション(機械的シグナル伝達)に関与することを見いだした。そこで本研究ではWnt5a-Yap axisによる心筋細胞メカノトランスダクション制御機構と、それが心不全を増悪させる機序を明らかにすることをその目的とした。 これまでの研究から、培養心筋細胞でWnt5aをノックダウンすると伸展刺激によるBNP遺伝子の発現誘導がおこらなくなることが明らかになっている。2022年度は培養心筋細胞を用いてWnt5添加時の伸展刺激反応について検討した。伸展刺激をしない培養心筋細胞にWnt5aを添加したところBNP遺伝子の発現誘導はみられず、また、伸展刺激をした培養心筋細胞にWnt5aを添加するとBNP遺伝子の発現誘導はむしろ減弱することが明らかになった。以上の結果は、Wnt5aが伸展刺激と同様の細胞反応を起こすのに十分ではなく、Wnt5a以外のシグナルも心筋細胞のメカのトランスダクションに関与していることを示唆するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は培養心筋細胞を用いて伸展刺激反応におけるWnt5aの役割をさらに詳細に検討することを目的とした。Wnt5aが伸展刺激と同様の細胞反応を起こすのに十分ではなく、Wnt5a以外のシグナルも心筋細胞の機械的シグナル伝達に関与していることが明らかになり、2022年度の目的は概ね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降も引き続き培養心筋細胞を用いてWnt5a-Yap axisによる心筋細胞メカノトランスダクション制御機構を明らかにすることを試みる。特に2023年度は伸展刺激反応におけるYAPの役割の解明を目指す。
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Research Products
(1 results)