2022 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いた難治性気管支拡張症の新規診断法の確立と治療法の開発
Project/Area Number |
22H03077
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 慎平 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50747219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 万彦 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50206942)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 難治性気管支拡張症 / 遺伝性疾患 / 線毛 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では線毛機能不全症(PCD)と診断困難な難治性気管支拡張症の線毛機能異常を患者末梢血由来のiPS細胞で証明し、治療モデルまで構築することで、線毛機能の低下に対する根本的な治療薬につなげて診断重要性の根拠を確立することを最終目標としており、以下の3つの研究を進めている。①PCDとしての診断困難な気管支拡張症例で過去に報告のない遺伝子変異を持つ症例を特定して末梢血からiPS細胞を樹立する。②患者由来iPS細胞を気道上皮細胞に分化誘導して線毛機能解析から従来の方法では診断の難しかった症例の線毛細胞の病態を明らかにする。③遺伝子の機能欠損型の異常に対する治療モデルを確立する。まず、①について、R4年度は診断困難かつ気道症状や肺炎を繰り返したエピソードを持つPCD疑いの症例を探索し、原因遺伝子の同定が困難だった1症例からiPS細胞を樹立することができた。また、②については患者由来iPS細胞の分化誘導条件について細胞の播き数や培地組成について各因子の濃度を検討し、最適化を進めた。iPS細胞から分化誘導した気道上皮前駆細胞については、煩雑な手間を要するオルガノイド培養を要さない簡便な分化誘導法の開発も進めて気道線毛上皮細胞に効率よく分化誘導する方法を開発した。③の治療モデルの開発については既に樹立済みで原因遺伝子の欠損が明らかとなっている疾患特異的iPS細胞を用いて、欠損遺伝子をウイルスベクターを用いて効率よく発現させるための条件検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って予定通り進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に沿って、難治性気管支拡張症でPCDとの診断困難症例のリクルートを進めてiPS細胞の樹立を継続し、線毛機能異常の評価や治療モデル構築に応用しやすい分化誘導法の開発を進める。また、遺伝子機能欠損を補うための化合物スクリーニング方法を開発し、ウイルスベクターについては症例を絞って感染条件の最適化を進める計画である。
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Research Products
(7 results)