2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel therapeutic agent of EV for pulmonary fibrosis by inducing lipofibroblast differentiation
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22H03082
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
荒屋 潤 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90468679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10737133)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | lipofibroblast / 特発性肺線維症 / 細胞外分泌小顆粒 / metabolic reprograming |
Outline of Annual Research Achievements |
呼吸器系治療薬として有効である可能性のある代謝調整剤は、実験室レベルでは効果が報告されているが、一般的な用量では十分な血中濃度は得られず、臨床検討でも有効性は示されていない。そこで培養系で高濃度薬剤により、線維芽細胞からlipofibroblastへの分化を誘導する。lipofibroblastは、肺のII型肺胞上皮細胞の幹細胞性維持のためのニッチ細胞として作用する。誘導したlipofibroblastではなく、分泌するEVを使用し治療応用に用いることで、従来のmetabolic reprogramingの抱える問題点を克服することが本検討の目的である。 本年度は、in vitroのmetabolic reprograming により、薬剤Xと薬剤Yが、効率的にlipofibroblastを誘導することを明らかにした。それぞれで誘導されlipofibroblast由来のEVを用いて、in vitroの培養系で有効性の検証を行った。喫煙刺激で誘導される細胞老化、TGF-βで誘導される筋線維芽細胞分化誘導効果に対して、薬剤Yで分化誘導されたlipofibroblast由来EVのみが、効率的な抑制効果を示すことが明らかとなった、 さらに薬剤Yで分化誘導されたlipofibroblast由来EVには気道上皮細胞及びII型肺胞上皮細胞に対して増殖作用を示すことがオルガノイド培養を用いることで明らかとなっている。この作用機序として、分離したEVの質量分析による検討から、アミノ酸取り込みにかかわる分子が関与している可能性が示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討結果から薬剤Yが、効率的にlipofibroblastを誘導すること。また誘導されたlipofibroblast由来のEVに、抗老化作用や、抗線維化作用、そして気道上皮細胞及びII型肺胞上皮細胞に対する増殖作用があることをオルガノイド培養を用いることで明らかとなっていおり、さらにその機序に関しても検討が進んでいる点からは、おおむね順調に進展していると考えております。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、薬剤Yにより誘導されたlipofibroblast由来のEVを用いて、その細胞増殖作用の機序を詳細に検討し、さらに肺線維症モデルに加え慢性閉塞性肺疾患モデルでの有効性を明らかにすることを計画しており、以下の検討を行う予定である。①細胞増殖作用の機序の検討は、EVのLC-MS解析により、高発現蛋白を抽出する予定である。現段階で、アミノ酸の取り込みに作用する蛋白は候補として選択出来ており、その作用機序も含め詳細に検討を行う予定である。 慢性閉塞性肺疾患モデルに関しては、いくつかの異なるモデルを使用する予定であり、 ①6か月間の喫煙暴露モデルに対する有効性の検証:小動物用暴露吸入システム(SCIREQ○R;in expose) 付属のWholeBodyチャンバー内でタバコ1日5本を週5日間計26週間喫煙暴露後、呼吸機能測定を行う。また気管支肺胞洗浄液(BALF)の採取と肺の摘出を行う。EVは週1回の気管内投与を行う。ホルマリン固定標本、凍結標本を作成する。BALFは、細胞数、細胞分画、炎症性サイトカイン量を測定する。ホルマリン固定肺はH-EおよびEVG染色を行い、肺気腫はMean Linear Intercept(MLI)測定で行う。②喫煙暴露とPloyIC併用もでる。約1か月間の喫煙暴露に加え、PolyICを週2回、EVは週1回投与する。day23に検体最初を行い同様に検討する。③蛋白分解酵素を用いた肺気腫モデル。豚膵臓蛋白分解酵素を気管内に注入し、週1回EVを気管内投与を行って、約1か月後に同様に評価を行う。 肺線維症モデル ①ブレオマイシン肺線維化モデルを作成し、EVは週1回の気管内投与を行いday17に検体を採取し、各種検討を行う。 以上検討により、lipofibroblast由来のEVの有効性の機序解明に加えて、肺線維症及び慢性閉塞肺疾患治療薬としての実現可能性が検証できると考えている。
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Research Products
(2 results)